☆*:.。. 注!腐的妄想です .。.:*☆

*「僕らがつないでいく」の番外編です。


ミラクル・サマー…01



花火大会の会場になっている浜は
毎年の事ながら 物凄い人でごった返していた。

雅紀の店の餃子は特に人気で長蛇の列が出来ている。

「もうちょっと空いてからにする?」

って智は言うけど もし売り切れたら…と思うと
俺は気が気ではない。

雅紀がパックに餃子を詰めている様子を遠巻きに見ていると

「智ぃ〜!翔ちゃ〜ん!」

俺達を見つけた雅紀が大きく手を振った。


「ホントは5個入りなんだけど喧嘩になるからさ。
1個オマケね」

そう言って渡された餃子を持って敷物を広げた。

冷えたラムネと去年食べられなかった焼き鳥と雅紀の餃子。
それに智の母ちゃんが持たせてくれた五目ご飯のお握りと
タッパに詰めたおかずを並べて一息ついた。

今日も一日中遊び回ってお腹はペコペコだ。
右手に焼き鳥 左手におにぎりを持って交互に頬張る俺に

「あのプラモデル…取らなくて良かったの?」

智が少し悲しそうな顔をして手元のお握りを見つめた。

「え?いいに決まってんじゃん!」

「でもバイクのプラモデルだって あと少しだったかもしれないじゃん。
翔はあれが欲しかったんだろ?」


200円で8発の弾を智と交互に射って
智の最後の弾が後ろの壁に当たって弾き返された。

「やっぱ当たらないよね…」と残念そうに笑う智の横で
俺の最後の弾が智の狙っていた72色の色鉛筆に命中して
スローモーションみたいにゆっくりと落下した。

「翔〜っ!凄ーーーいっ!」

大興奮する智に

「ほら!」と色鉛筆を渡すと
「…いいの?」とちょっと躊躇ってから「うんうん」と頷く俺を見て
「ありがとう…」と色鉛筆を胸に抱えた。




「プラモデルなんてどうでも良かったんだ…
去年のリベンジがしたかっただけだから。
俺が色鉛筆を持ってたって仕方ない事くらい智だって知ってんだろ?」

そう言うと智が安心した様に笑って
「そっか…」とお握りに齧り付いた。


智が喜んでくれるんだったらプラモデルなんてどうだっていいんだ。

俺は智の喜ぶ顔が見たかったんだから…


☆*:.。. 次回19時です .。.:*☆