☆*:.。. 注!腐的妄想です .。.:*☆

*「僕らがつないでいく」の番外編です。


夏休みが始まって最初の週末。
今日は翔が島にくる日だ!
蝉の鳴き声を合図にベッドから飛び起きた。

壁に掛かったカレンダーの今日の日付に書かれた
赤い花丸と『翔』の文字を確認して階段を駆け降りた。



終業式の帰りに翔のジィちゃん家を覗いたら

「おっ!智か…
今度の土曜日に 翔が来るからまた一緒に遊んじゃってくれるかの〜」

俺の心中を読んでるかの様なジィちゃんの言葉に

「うんっ!」

と大きな声で返事をした。


翔が来る…
翔が来るっ!
翔が来るんだっ!

全身を喜びが駆け巡って 笑うつもりもないのに笑えてくる。

やったーーーっ!

心の声に合わせてジャンプをして
全速力で走って家に着くとカレンダーに花丸を書いた。



朝ご飯を食べるのももどかしく
家を飛び出した俺に

「まだ早いわよ〜」

母ちゃんの声が追いかけて来たけど構わず走った。

いつも寄り道をする防波堤や港も今日は素通りだ。

桟橋の先端に座って翔の乗った船を待つ。

陽が高くなってきて真夏の日差しで腕がジリジリと音をたてる頃。

何も見えない水平線の向こうに 胡麻が一粒。

胡麻が米粒になって…やがて船の形になる。

翔が乗ってる船が徐々に近づいてくる。

翔も甲板で俺を見ているはず。

船が大きくなったところで立ち上がって手を振ると
船の端の方でチラチラと何か動いている。

翔だ!

目を凝らして見ていると段々と人の姿になり…
翔が両手を振っていた。

「さとしーーーっ!」

風の音にかき消されそうな距離から翔が叫んでいる。

「しょーーーっ!」

待ちきれずに俺も大きな声で叫ぶ。

桟橋に近くなると翔の姿が消えてデッキの出口が開くと
一番にピョンと飛び降りて来た。

「智っ!またいっぱい遊ぼうなっ!」

「うんうん」と頷いて俺達の夏が始まった。


☆*:.。. 次回13時です .。.:*☆