☆*:.。. 注!腐的妄想です .。.:*☆





見たいと言ってた映画なのに
内容は ほとんど頭に入ってこなかった。

だって智がさ…

映画館の売店でコーラを注文して

「映画って言ったらポップコーンじゃね?」

って言ったら

「俺 一人でこんなに食えないから半分こしよ」

って言うから…

二人並んだ膝の上にポップコーンが入ったバケツを置いて
餅つきみたいに交互に手を突っ込んだ。

でも…
ポップコーンを置いて触れ合う膝…
タイミングがずれて時折ぶつかる手…
自然に寄り添って重なる肩…
間近に見る智の横顔…

後で智をメシに誘って映画の感想で盛り上がりたいんだから
ちゃんと集中して見ないと…
そう思ってるのに映画の内容とは関係なしに
鼓動が早まったり 噴き出す汗を拭いたりと忙しい俺。

エンドロールが流れる頃には なんだか変な疲労感に苛まれた。


館内が明るくなって 人々の流れと共に出口に向かうと
人並みの少し先に さっきの二人の姿が見えた。

「楽しかったけどお腹が空いちゃった」

「あはは…じゃぁ何食う?」

そんな会話が聞こえてきた。


そうだ!俺も…

横目で智を見て…

ゴクリと喉が鳴った。


…ど、どのタイミングで誘えばいいんだ?
…い、今なのか?


大勢の人と一緒に広い廊下に吐き出されると
開放感に智がホッと一息ついた。

ぁ…多分…今だ!


「あ、あのさ…この後…時間ある?」

「ん?」

智が俺の顔を見上げて小首を傾げる。

「もしさ…もし大丈夫だったらメシでも食ってかね?」


…言った!
よし言ったぞ!俺っ!


大きく眼を見開いた後 満面の笑みを浮かべた智が

「うん!俺もそう思ってた」

そっか…

智も同じこと考えてたんだ…


お互いに顔を見合わせて俺が「えへへ…」って笑ったら
智が「んふふ…」と笑った。