☆*:.。. 注!腐的妄想です .。.:*☆





ピピピ…

「あ……」

車の警告音が鳴ってブレーキを踏むと
思わず声が漏れた。

あ〜…ぁ…

完了検査の今日は俺が現場に来る最後の日。

「一ヶ月後には一発で入れられるようになりますよ!」

そう言ったのは俺で…

「じゃぁ賭けます?
工事が終わるまでに一発で入れられるようになるか」

そう言ったのも俺だ。


ギヤを「P」に入れるとサイドブレーキをかけて車を降りる。

バックモニターを信用してないわけじゃないけど
右後ろのバンパーと隣のブロック塀の隙間を直接確認して運転席に戻った。

ハンドルを胸に抱きながら

「大野さんの勝ちです…
ちょっと…切返さないと無理でした」

俺が負けを認めると

「いぇ〜ぃ!」

隣で大野さんが俺に向かって親指を立てる。

ちぇ…

ハンドルを握り直してギヤを「D」に入れるとハンドルを切った。
再び「R」に入れて慎重にバックすると
そのまますっぽりと駐車スペースに納まった。

「でもまぁどう考えても無理だよな?
一発で入れるなんて。
会社の軽ならいざ知らず こんなでっかい車…
一回切り返しただけで入れられたら大したもんだよ!
俺だったら永遠に入れられる気がしねぇわ。
しゃーない!しゃーない!」

「でも…負けは負けですから…」

「負けって言ったって…
でもついこの前は二回だったけど 今日は一回じゃん?
明日だったら一発で入れられたかもしんねぇよ?」

「………。」

「それにあの時は確か…一ヶ月後には…って言ってたと思うけど
まだ一ヶ月経ってねぇしな?」


賭けに勝った大野さんが一瞬喜んでは見たものの 
また俺が凹むんじゃないかと必死に言葉を探している様子が
ちょっと可笑しかった。