☆*:.。. 注!腐的妄想です .。.:*☆
「まず水と塩を用意して…
熱々のご飯を握るのは…
ほら…こうして…」
俺が茶碗にご飯を半分よそって
真ん中を少し凹ませる。
「このくぼみに具を入れて
上からまたご飯を載せて軽く押さえる。
…んで 濡らして塩を付けた手のひらに
ひっくり返して手早く握る」
「へぇ〜…智 凄ぇ…」
「こんなの小学生だって知ってるよ。
ほらやってみ?」
握った飯に俺が海苔を巻いている間に
翔がブツブツ独り言を言いながら
「…ご飯をよそって…凹ますだろ…
で…ここに具を入れる…」
オニギリ作りに真剣に取り組んでいる翔を見て
子供の頃を思い出した。
真面目で頭が良くて…曲がったことが大嫌い。
昔っから遊びも勉強も一生懸命だった。
毎日 朝から晩まで一緒に過ごした夏休みに
「翔は頭いいんだから簡単だろ?
代わりにやってよ!」
勉強が嫌いな俺と雅紀が
夏休みの宿題を投げ出そうとしたら
「教えてあげるけど やってはやんない。
智の宿題を俺がやったら嘘つきじゃん。
智の勉強のための宿題なんだから」
あの時は真面目な翔が恨めしかったけどな…
今 目の前で悪戦苦闘中の翔と
俺達に一生懸命 勉強を教えてた翔が重なって
自然と笑みがこぼれた。
「…で、ギュッと握る」
「あ!ギュッとじゃダメ。
優しく手早くしないと…」
「え?そうなの?」
「ギュって握ったら硬くなっちゃうだろ?
優しくふんわり握ると口の中で
ホロホロって崩れるから…
その方が美味い!」
「へぇ〜〜〜オニギリも奥が深いんだな。
たかがオニギリ。されどオニギリ…か」
翔が自分で握ったオニギリを
手のひらに載せて高く掲げて見せた。