「大野くんのデザインしたカフェはどぉ?
初めてきたの?」

「いえ…先月一回来ました」

「へぇ〜…大野くんと?」

「いえ…さと…あ、大野さんは恥ずかしいから
一緒は嫌だって言うので友達と…
壁に飾ってある絵は描き上がった時に
見せて貰いました。
大野さんの部屋で…」

わざわざ智くんと一緒に暮らしていることを強調して
無意識のうちに松本さんよりも
優位に立とうとしている俺がいた。

どっから見ても…
誰が見ても俺に勝ち目なんてない松本さんに
俺の方が智くんの身近にいて
俺の方が智くんと親しいんだって
そう言ってやりたかった。

案の定 鼻白んだ顔をした松本さんが

「昔っからの知り合いなの?大野くんと…」

「いえ…初めて会ってから半年…くらいです」

「ふ〜ん…じゃぁ断然俺の方が
付き合いが長いわけだ」

松本さんも俺と張り合ってると思えたのは
気のせいなんだろうか?

「一応聞いとくけど、ただのルームメイト?
シェアしてるだけの」

シェアしてるだけのルームメイト…

家賃を安く上げるためだけに
一緒に暮らしているルームメイト…?

いや…それは違うな…
だって他の人だったら一緒に住むなんて
考えられないし…

「それは違います」

「ヘェ〜…違うんだ。じゃぁ何…友達?」

松本さんが背もたれに身体を預けて
脚を組むとギラギラと光を放った目で
俺を見据えた。