「こんな風に誕生日を祝って貰ったのなんて
子供の頃以来だな…」

たらふく食べて、ワインも飲んで…
ほろ酔い気分でベッドに潜り込んで自然に寄り添った。

「智に喜んでもらえて良かった…」

「うん…すげぇ嬉しかった…」

翔の胸に顔を埋めると
翔が俺の肩を引き寄せて額にキスをする。

「来年も…再来年も…
ずっとずっと一緒にお祝いしよ?」

「うん…ありがとな…
翔は?翔の誕生日っていつ?」

「俺は…1月25日」

「1月…25日か…」

「お祝いしてくれる?」

「当たり前じゃん!
でも俺…サプライズとか得意じゃないから…」

「いいよ…そんなの。
智と一緒に過ごせれば…それが一番だからさ」



翔にくっついてお喋りをしていると
翔の体温と声の振動が伝わってきて…

「あ…あのさ…」

「…ん?」

「…しても…いいよ…///」

翔の身体がピクッと震えた。



一緒に住むと決めた時に翔が

「店の定休日の前日以外はしないって決めたから。
智は朝が早いからさ…
智の仕事の邪魔だけはしない。
絶対に智の負担にはなりたくないから」

俺はそこまで頑なじゃなくてもいいと思ってるけど
半年たった今でもこの約束は守られ続けている。


「…しよ?」

俺を抱きしめる翔の腕に力が入って
二回…三回と大きく深呼吸をした翔が掠れた声で

「ダメだよ…約束したじゃん…」

「でも…まだ時間も早いし…」

「普通に考えたら早い時間だけど
智は3時に起きるんだろ?」

「……。」

「だから…我慢する。
一度しちゃうとズルズルとケジメがなくなるから。
智の仕事に差し障る事はしたくないんだ。
パンはデリケートなんだろ?
気温や湿度、作ってる智の体調もパンの味を左右する…
俺は智と、智のパンが好きだから…
だから智の邪魔はしたくない」


翔…

「でも…智がそう言ってくれただけで
イッちゃいそうなくらい嬉しいよ」


翔のその気持ちが嬉しかった。
大切にされてるって…
愛されてるって…
こんなに嬉しいもんなんだな。

「ありがとう…最高の誕生日だよ」

そう言った途端に

「やべっ!肝心な事忘れてた!!!」

突然、翔がガバっと起き上がって部屋を飛び出すと
紙袋を持って戻ってきた。

「肝心なプレゼントを渡すの忘れてた!」

起き上がった俺が袋ごと受け取って中を覗くと
リボンの掛かった包み紙。

「へぇ~…何だろ?」

ワクワクしながら紙袋から取り出した包みのリボンを解く。
包み紙の中身はスケッチブックが5冊と高そうな木箱?

留め金を外して蓋を開くと

「すげぇー!これ色鉛筆?
何?何色入ってんの?
え…?120色だって…すげぇな…
色鉛筆って高いのに…こんな凄いの勿体なくて使えないよ」

「あはは…使わなきゃ意味ないじゃん」

陽気に笑った翔が

「これでさ!俺を描いてよ!」

へ?

「俺の顔をさ…いっぱい描いてよ!」

「なにそれ?」

「スケッチブックは足りなくなったら
いつでも買って来るからさ!
とりあえず今月は五冊あれば足りんだろ?」

「今月って…もう一週間も無いけど…?」

「だから…一日一冊使ったとしても…
ギリ足りるだろ?」

目をキラキラさせながら
冗談みたいな事を本気で言うから

「はっ?!バカかっ!そんなにヒマじゃねぇわ!」

呆れて声が大きくなった俺に

「そんなに思いっきり言わなくたって…」

と情けなく眉毛を下げるから
ちょっと可哀想になって

「じゃぁこれでさ…
翔の誕生日までに
とびきりの一枚を描いてやるよ…」

って言ったら
翔が俺の大好きな顔で笑った。


翔…ありがとう。

その笑顔が
俺にとって一番のプレゼントだよ。



☆*:.。. 終 .。.:*☆



大野くん37回目のお誕生日おめでとうございます。
36歳はどんな一年だったんでしょうかね?
ドラマと映画で忙しかった分、楽しみを充実する事が出来ましたか?
私は雑誌や映画で目にする事が多くて嬉しかったです。
全然追いつけてませんけどね(笑)
37歳の大野くんも充実した毎日と、たまにはのんびりと
自分らしく過ごせる時間が取れると良いですね。
でもあんまり忍ばないでね?趣味の時間もほどほどに(笑)

生まれて来てくれてありがとう。
私達に夢と歓びと希望をありがとう。
これからの一年も楽しく充実した年でありますように…


☆*:.。. ま~ら .。.:*☆