庭の芝生に寝転んで目を瞑る。

木々のざわめきと鳥のさえずり…
小さな子供の笑い声…
時折吹く風に乗ってほのかに甘い香りが漂ってきた…



「ショー!いい匂いがする〜」

アラシが鼻をヒクヒクさせると

「…しゅる〜」

ランがアラシの真似をする。

開いてる窓からサトが顔を出して

「パンが焼けたから手を洗っておいで…」

「わ〜〜〜い!」

二人が競って殺菌ライトに手をかざすと
サトがカゴに入ったパンを持って出てきた。

「お天気がいいから外で食べる?」

「食べる〜!」

芝生に座るとサトがカゴの中を見せて

「アラシはどれがいい?」

「俺…これにする!甘くて美味しいやつ!」

「ふふふ…アラシは本当にこれが好きだよね?
いつも同じのだよ?」

サトがカゴからシナモンロールを選んでアラシに手渡すと

「だって…美味しいんだもん!
いっただきまーす!」

大きな口でかぶりついた。

「ランは?」

「ランはね〜…チョコの…」

「コロネ?」

「うん!コヨネ!」

俺がランのコロネを取りながら

「ランにはちょっと大きいよ?
俺と半分こしよ?」

「ヤダ!ショーいっぱい食べちゃうもん!
ショー食いしんぼだもん!」

小さな頬っぺたを膨らませた。


夢中で食べてる二人を
サトと並んで見ていた。

「美味そうに食ってるなぁ〜…」

「うん…本当にね…
ショーが言ってたのはこういう事…なんだよね?」

そう…
美味いものを食べてる時の幸せそうな顔…
俺の夢が少しずつ形になり始めた。


「ショーは?どれにする?」

カゴの中を見せながらサトが小首を傾げる。

俺は…

「パンもいいけど…今は……」




暖かい陽射しと優しい風…
甘い香りに包まれて…
子供達の笑い声とサトの笑顔…
穏やかで…満ち足りた時間…


「あ〜っ!またショーとサトがチューしてるー!」

「…してゆぅ〜」




翔ちゃん…大野さん…

俺達も幸せだよ…



☆*:.。. 終 .。.:*☆