胸の昂りもおさまって
腕の中に智の体温を感じながら
空に浮かぶ月を見ていた。


「あのさ…何で秋の絵が無いの?」

「海の絵の事?」

「うん…」

「…だって…秋休み…無いじゃん」

「秋休み?」

「秋休みが無いからさ…
翔…来ないじゃん…
翔と一緒に過ごした海を描いたから…」

智…

「じゃぁさ…今度描いてよ…秋になったら…」

「秋のなったら…か」

「そうだよ…これからずっと一緒なんだから…」

そうだな…
二人で過ごす…初めての秋…


「あとさ…何でカケルなの?
S・O・カケルのS・Oはサトシ・オオノでしょ?
カケルは?カケルはどっからきたの?」

「カケルは…」

智がちょっと困ったような顔をして口ごもる。

なに?言いにくい事?

智の顔を見ると俺から目をそらしてボソッと

「翔…の事」

「えっ?」

「翔の事!翔って字を音読みだか訓読みだか
どっちだか忘れたけど…カケルって読むじゃん!」

「カケルって…俺の…事?」

少し赤くなった智が照れて不機嫌そうな顔をして
俺の腕から逃げようとするから、ギュッと力を込めて
抱きしめる。

「智…そんなに俺の事を想ってくれてたの?」

「うるせー…」

「ねぇってば…」

「………。」

「…言ってよ」

「…想ってたよ…いつも…ずっと…」

俺も…

「智…愛してる…」

横を向いてる智の耳に囁いて…
口付けると智の耳の後ろが赤く染まった。

「いつか…ゆっくりでいいからさ…
繋がりたいな…智と…」

「……ん」

「…いいの?」

「えっ?いいの?って…
え……俺がそっち?」

「えっ?違うの?」

「違うの…って…
なんで決めつけてんだよ!」

「だって…俺、男とした事ないもん」

「お、俺だってねーよ!」

慌ててる智が可愛くて笑いながら抱きしめる。

「いいよ…どっちだって…智と一緒に居られるなら…」



☆*:.。. 次回最終回です .。.:*☆