大学の中庭の芝生に寝そべって空を見る。
ポケットからビー玉のストラップを取り出して
透かして見ると、空よりも少し濃い青だ。

ニューヨークに来て三ヶ月が経った。

俺の知らない間に色んなことが動いていて
ボンヤリしている間に飛行機に乗せられて
隣の席の松本から…
ニューヨークでニュース番組のコーナーを
受け持つこと、大学に通うこと…を聞いた。

もぉ…なんでも良かった…

周りの決めたことに流されるしか…

サトシくんのそばには居られない…

俺が居るとサトシくんが…

サトシくんから…逃げたかったんだ。

あの時…先輩の腕に縋って泣いた。
誰かに…止めてもらいたかったんだ。
自分で自分が分からなくなる。
黒い感情に支配されて…ハッと気付いた時には
サトシくんを傷つけてて…
その瞬間、どれだけ後悔してもまた繰り返す…

こんな俺でも好きなの?
こんな酷い俺でも…
サトシくんを痛めつける事で
サトシくんの心を試していた。

俺の歪んだ心が…
サトシくんを雁字搦めに縛って…

あんな…あんなことに…

思い出す度に頭を抱える俺に

「ショウさん…大丈夫だよ…
大野さんは大丈夫。
ショウさんの気持ち…一番分かってるから」

心配して、俺についてきてくれた松本が
優しく背中をさすってくれる。

「ニューヨークに着いたら忙しいよ!」

機内でいたずらっ子のように笑う松本の
言った通り、着いた途端に目が回るほどの
忙しさだった。