テレビの前の床に、相葉ちゃんと並んで膝を抱えて座る。
もうすぐCMが終わる。
いつもなら腰を上げるタイミング…
でも…動け…ない…
あ…終わる…
スタジオが映って…
「では、ニューヨークの櫻井さん!」
スタジオのキャスターが呼びかける…
あぁ…
どうしよう…
息を止めて…ギュッと目を瞑る。
「はい。
こちらニューヨークの櫻井です…
こちらの天気は…」
あぁ……ショウくん…
ショウくんの…声…だ…
鼓膜を震わす…ショウくんの声…
心臓がギュッとなって、息が苦しくなる。
そっと…
目を開けてみる。
ショ…ウく…ん……
一ヶ月ぶりのショウくん…
笑ってる…ちょっと痩せた?…でも元気そう…
ショウくん…
ショウくん…
目の前に…ショウくんがいる。
逢いたかった…
ショウくんが楽しそうに街の中を
歩きながらマイクを持って喋っているけど
鼓膜を震わせたショウくんの声は
俺の脳みその上っ面を滑るばかりで
何も頭に入ってこない…
ショウくんが…
俺のショウくんが…
ショウくんの顔が涙で霞んで…
もぉ何も見えない…
何も…考えられない…
ショウくんのコーナーが終わったことも気づかずに
涙を流しながらテレビを見つめている俺に
何も言わずに相葉ちゃんがそっとリビングから
出て行った。