相葉ちゃんから貰ったカードに書かれていたジムは
歓楽街の中の普通の雑居ビルの地下にあった。
階段を降りると ドアに小さくジムの名前が貼ってあって
隙間から明かりが漏れていた。
小さくノックして、そっとドアを開けると
そんなに広くない殺風景な部屋に
様々な種類のマシンが並び、その隅にあるボート型の
マシンをアンタが一心不乱に漕いでいた。

「…85…86…87…」

小さな声で数を数えながら機械的に腕を動かす。

「…99……100!」

ふぅ~~~と 大きく息を吐いて顔を上げる…と、目が合った。

「あ!来たんだ!」

ニコニコしながら俺を見て、キョロキョロと何かを探している。

ん?これ?

近くにぶら下がっていたタオルを渡すと

「おっ!サンキュ!松潤もコレやってみなよ。結構くるよ~」

もぉパンパンだよ…と笑いながら腕をさする。




「いつから通ってんの?」

アンタに誘われて100回を3クールやって…
クールダウンのストレッチを一緒にしながら聞いてみる。

「ん~…ここ自体は結構前から。
このマシーンは2週間くらい前からかな…?
駄々こねてオーナーに買ってもらったんだ。」

へへへ…と、いたずらっ子の様に笑う。

「ここさ、朝6時までやってんの。
ミカちゃんに教えて貰ってさ。
その代わり昼間はやってないけどね」

ミカちゃんって…アンタがよく行く店の?
オネエのミカちゃん?

「そーそー!彼氏がオーナー。」

と笑いながら

「俺も今、丁度お芝居やってるから なかなか練習に行けなくて……
んで、ここで自主練。
松潤もここなら撮影終わってからでも来れるんじゃないかなって思ってさ」