新しい家での生活が始まった。
ブチには2回目の引っ越し。前回の引っ越しの時はミータと
一緒だったし、とても若かったから大きなストレスには
ならなかったと思うが、今回は高齢だったので気になった。
家で唯一の雄猫のダイは、日頃からよく外に出ていた。
夫が
「絶対に外に出したらいかん。出て行ったら帰ってこられんぞ」
と言ったが、ダイは家に閉じ込められることに慣れていなくて、
鳴き続けた。
片づけをしながら5匹の猫を気にして、人間も猫もお疲れ
気味。数日後にやっとダイを試験的に外に出したが、ちゃんと
帰ってきた。
ブチはおりこうで、何も問題を起こさなかったので、ついつい
気遣ってやることがおろそかになりがちになった。
ある日、ブチがテーブルの脚に頭をゴン!とぶつけているのが
目にはいった。それまでも、ブッちゃん少し視力が悪くなった
かなと思うことはあったのだが、ぶつかる寸前で回避できていた。
「ブッちゃん目が大分見えなくなったみたいやね」
「うん・・」
夫も気づいていたようだ。
猫は、家が変わることが嫌いな動物であるということは知って
いた。何事もないように見えてはいても、引っ越しはブチに
とっては間違いなく大きなストレスだったのだ。
『ブッちゃん、ごめん‥』