親しかった隣の家族は数か月前に引っ越していた。
『ジタバタしてもしょうがないか‥』
しばらく雨に打たれていたが、寒くない季節で幸いだった。
そのうち少し動けそうにな感じになった。私は痛くない
方の脚の膝をついて、何とか自力で這って家にはいった。
『携帯が手の届くところにありますように‥』
私の携帯はたいていダイニングのカウンターか、テーブル
の上に置いていた。立つことはできないのでカウンターに
置いてあったらアウトだ。
幸い手の届くところにあった。団地に住む親しいMさん
に電話した。来てもらえたらいいけれど・・
「今どこですか?」
「駅の近く。今から妹の所へいくの」
あ~それでは頼めない・・事情をいうと
「それならKさんに行ってもらおうか。私からKさんに
連絡するから」
しばらくしてKさんが来てくれた。Kさんを待つ間夫に連絡
したが、気のない返事だった。わかってない。その間にも
右脚の足首あたりがみるみるうちに腫れていた。
それまで緊張していて、それほどでもなかった痛みが
徐々に襲ってきた。
「どうする?救急車呼ぶ?」
とKさんが聞いてくれた。なるべくなら呼びたくなかった。
前に行ったことのある整形外科医院に電話した。
「骨折をしたようなんですけれど、行ったらすぐ診て
もらえますか?」
「今日は新患が多いのでだめです」