お父さんは、君がお母さんのおなかに宿ったそのときから、

想像力の塊になったんだ。

お父さんのおなかの中では、君は育つことが出来ないんだ。

君の遺伝子のバトンを、お母さんに託して、

あとはお母さんにしか体感できない苦しみとか、

喜びとか、痛みとか、イライラとか、不快感とか、

くすぐったさとか、君が生まれてから得ることになる全ての感情を

想像して共有することになるんだ。

想像することでしか共有できないとしたら、

それってとっても大変だよ。

君が味わったことのない食べ物を、

君以外の人が食べていて、

その感想だけを聞いて、

その人の思いに完全にシンクロしなければならない、

としたら、大変さがわかるかな?

しかもそれは体の中で起こること。

おなかの痛みを完全に、

周りの人と共有できるかい?

君のお父さんは、お母さんのそんな感覚を、

一番近いところにいる味方として、

一番遠いところにいるのに、

共有し続けたんだ。

ウンチやおしっこの面倒を見ても、

自分のからだからご飯を作ってあげるなんてことは

お父さんには出来ない。

だからお父さんは、

お母さんを守るために出来ることを考えてしたんだ。

お仕事を一生懸命にする。

お母さんのイライラに付き合う。

君が生まれる直前、必死になってお母さんの背中を

さすり続けたはずなんだ。

でも実感をもとにして、

その行動を起こしたわけじゃない。

だからこそ、すごいんだよ。

それは、君を産んだお母さんでさえも出来なかったこと。

だからお父さんになる君は、

想像力を豊かにしなければいけない。

そのために、勉強しよう。

だからお母さんになる君は、

そんな男の人に出会うために、

洞察力を鋭くしなければいけない。

そのために、勉強しよう。

それをお父さんもお母さんも、

待っているよ。