CROSSOVER JAZZ
dummy
2014-09-17 12:31:49

「あおぞら」の動画を公開します。

テーマ:Shared Illusions
本日、吉澤はじめ、ニュー・アルバム「Inner Illusions」がリリースとなりました。
記念に、最終曲あおぞらのPVを公開致します。
ぜひ多くの皆さまにご覧頂きたければ、ありがたいと思います。

あおぞら


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2014-09-16 12:32:49

【ニューアルバム楽曲解説15】あおぞら~aozora~

テーマ:Shared Illusions
12時28分に地震がありましたね。言わずとあの日を思い出しました。

とうとう明日、アルバムがリリースされます。
今日は、最後の曲「あおぞら」について。

4、5年前から世界逸産で演奏していた曲です。その当時から「あおぞら」というタイトルはついていましたが、歌詞はついていませんでした。震災のあと、家族と生き別れてしまった被災地の子どもたちに会い、ふと、最初のラインが浮かびました。
「会いたいと願うだけで会えるよ。青空はつながっている。どこまでも果てしなく。」

20年近く前に亡くなったわたしの父に、ふと会いたくなるときがあります。そのときになぜか空を見るんです。意味もなく、でしょうが自然と空を見て透き通るように青い空だったりすると、この広い宇宙と一体になっているような不思議な感覚になります。父はいなくなったけれど、僕の心の中にもいるし、この宇宙全体の一部、あるいは至る所に存在しているかのような錯覚を覚えます。「あおぞら」は亡くなった人はもちろんだけど、遠く離れた友達とも、心の中でいつも会えるよ、というメッセージでもあります。

今回のアルバム制作中の2月に、ジャズフォー東北のツアーで大衡(おおひら)村に行くことになったとき、この歌を子どもたちと一緒に演奏できないかな、と思いつきメンバーの岡淳氏に相談しました。その時点では、全くアルバムに収録できるメドはありませんでした。
数日後にこども園の先生から、「子どもたちはもう歌えるようになりました!」というメールをもらったときは、正直びっくりしました。ミュージシャンまわりでも、むずかしい曲だ、という評判があったからです。
ただ、ぼく自身は、そんなにむずかしいとは思っていなくて、先入観のない子どもたちなら歌えるに違いない、とは思っていました。しかし、途中拍子があまったり、2度の転調のあるこの曲を5歳児があっという間に歌えるようになった、と聞いたときはさすがに本当にー??と思いました。
それから数日後、現地で子どもたちと会いました。さっそく、子どもたちを指導した高橋先生に「少し音合わせをしましょう」といわれ、リハーサルをしました。子どもたちが最初のフレーズを歌い始めたときは、本当に泣きそうになりました。ぼくがイメージしていたより遥かに豊かなサウンドでした。
その後、岡淳氏、高瀬裕氏、吉澤の演奏が、「どんぐりころころ」などの子どもたちと一緒に歌えるナンバーから、ジャズのスタンダードまで、スキャットなどを交えて楽しく繰り広げられました。演奏会の最後に、先生方、保護者が見守る中「あおぞら」を披露しました。それは、本当に「夢」が「現実」になった瞬間でした。子どもたちの中には、完璧に歌える子もいれば、すこし危なっかしい子もいる、ぜんぜん調子っぱずれの子もいる。だけれどみんなが一緒になって歌ったときのなんとも言えないあたたかいサウンドは、極上のものでした。ベースの高瀬氏も現地で急遽覚えてもらった曲でしたが、とても誠実な演奏で、心にしみました。

演奏会の実況録音をホテルに持ち帰って聞いたときに、また感動がよみがえってきて、アルバムの最終曲としてどうしてもこの曲を入れたい、という思いが強くなりました。その後、関係者の最大のご配慮をいただき、アルバム収録が決定しました。

最後の曲でありながら、アルバム全体の空気を支配するほどの美しい曲になったと思います。

近日中に、工藤かずお氏によるこの曲のPVを公開致しますので、お楽しみにどうぞ!
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2014-09-15 14:10:35

【ニューアルバム楽曲解説14】希望〜Kibo〜

テーマ:Shared Illusions
昨夜はアルフィーへお越し下さりどうもありがとうございました。
明後日はアルバムリリース。楽曲解説もあと2曲になりました。

いままでソロ・ピアノの曲は、「Hajime」のAutumn in Newyork、「JAPAN」のRain…などそう多くはありません。この曲もソロ・ピアノの曲なのですが、サウンドが通常のピアノとずいぶん違うと思われるでしょう。
アルバムクレジットの使用楽器に書いてあるプリペアド・ピアノとは、特別なピアノの種類ではありません。ピアノの弦にゴムや金属、木片などを挟んだり乗せたりして、より打楽器的な響きや、不思議な倍音や音色を作り出したもので、現代音楽家のジョン・ケージが発明したとされています。
長い針金などを無造作に載せたりすると、シタールのような金属的で雑味のある音色になったり、手を直接弦に乗せて演奏すると、マリンバや、カリンバのようなサウンドになったりします。
実際僕のライブに来られた方は、時折、そういった演奏法を目撃されたこともあるかも知れません。
この曲では、少し厚手の布を中高音域にかけて、ピアノのやや奥の方の弦に載せました。さらに音色を調整する中で、何本かの弦に重石としてライターなどを置きました。
裏声のような不思議な倍音、金属的なジャリッとしたサウンド、あるいはストリングスのピッチカートのように聴こえたりするパートがあると思います。
途中、プリペアド・ピアノの効果とは別に、ミックスの際に、テープ・ディレイのフィードバックを調整してシュールな空間を作り出しました。

色々述べましたが、言うほど小難しい曲ではありません。
夢の中で古い友達に会っているような、あるいは小さい頃に歌ったなにかのわらべ歌のような、そんな曲です。
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2014-09-12 13:56:02

【ニューアルバム楽曲解説13】Inner Illusions~one night boogie~

テーマ:Shared Illusions
明日13日、FM局J-wave(81.3Mhz)で17時より放送の番組に出演します。昨日収録で初めて六本木ヒルズの森タワーに行ったのですが思った以上の迫力ある外観に圧倒されました。
ちなみに、明日は一関市の千厩夜市にサキソフォピアのスペシャルバンドとして参加致します。
さらに、14日は六本木アルフィーでBOOTのライブがあります。その際、あくまでシークレットなのですが、あるものを持参しますので希望者の方に販売致します。ご来場お待ちしています!

さて本日取り上げる「Inner Illusions~one night boogie~」
映画「ブルース・ブラザース」のエンディングを観たことのある方はピンとくるんじゃないかと思うのですが、本編のあとのエンディングがめちゃくちゃ楽しい映画がたまにありますよね。出演者のその後がフラッシュ・シーンで次々に流れたり、ドタバタ・シーンのダイジェストやNG集。それでもセンスがないとむしろ台無しになってしまう。ワクワクした気持ちになれたときはその映画をまた観たくなったりしますね。

アルバム最終盤に向かい哀愁感漂う中、そんな後味作りの一翼を担っているのがこの曲です。本アルバム出演者を紹介しながら、架空のバンドがステージでハチャメチャを繰り広げている。それを観客が煽る。そんな楽しいシーンを浮かべていただけたら嬉しいです。架空のバンド「Inner Illusions Band」はピアノ、ベース、ドラムスとも吉澤が担当していますが、ブルックリンの不良高校生が人種を交えてジャズ・ファンクのセッションを繰り広げているイメージで演奏しました。

途中で入ってくるMCは吉澤の小学生のころからの一級先輩の長谷部守彦氏です。この方は、博報堂に勤めているのですが、大変才能豊かな方で、近頃単館公開を果たした映画「荻原郁三63才」の監督、脚本、出演をされている人です。カフェ・ラッテのCMに採用された吉澤の出世作「I am with you」はこの人の声かけで実現したものです。
オーディエンスの素材は今までの自分自身のライブ実況のライブラリーを中心に編集しましたが、思いのほか、楽しい作業でした。ということでもちろん、前述したバンドメンバー構成からも分かるとおり(笑)実際のライブではありません。ですが、逆に底なしに楽しい会場の臨場感が伝わったら嬉しいです。

お聴き頂いた皆さんの反応が今から楽しみです。

画像は六本木ヒルズで撮影しました。
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2014-09-11 12:15:49

【ニューアルバム楽曲解説12】記憶の平行棒

テーマ:Shared Illusions
いよいよ、リリースまで一週間を切りました。

本日はボーカル曲「記憶の平行棒」について話します。久々の日本語曲でもあります。
作曲したのは、もう10年以上前、まだモンド・グロッソの一員だった頃になります。さらに作詞のアイディアは20代の後半、陳腐な私小説をコソコソ書きなぐっていた頃に生まれました。

平歌、サビなどの、いわゆるポップスの定型の形を取らない楽曲形式ということもあって、デモ制作時の、レコード会社のディレクターからの受けは悪く、落ち込んだものです。ただ、「遠い記憶の平行棒に串刺しに連なる僕ら」というラインを当時の僕の代理人がとても気に入ってくれて、いつかこの曲を吹き込んでほしい、と励ましてくれたのは嬉しかったです。
モンド・グロッソを辞めて、Acoのプロデューサーだった頃、当時の担当ディレクターがこの曲をAcoに提供して欲しいという話までは進んだのですが、結果的にはデモ段階どまりでした。

そういうわけで、この曲を世の中に発表することは悲願でもありました。
全体を支配しているのは、子供の頃から、少し世の中に対してひねくれていた僕が抱いていた「桃源郷への逃避行」のイメージです。人は死んだらどうなるのか、死後の世界があるのかないのか。そういった命題に対して、この地上に生を受けて生き続ける間に証明することは不可能だと思いますが、それでも多くの人がその謎に答えを出そうともがいていることも事実です。この世で人に出会ったり別れたり、経験したことがすべて無に帰す、とは思えない自分としては人々の記憶が共鳴し合う平方根のようなものが存在するのではないかな、という漠然とした思いがあります。そして遠い日のどこかで、その平方根で響き合う遺伝子が引き寄せられたりするのではないだろうか?と考えるのです。

全編をフェンダーローズのあたたかいサウンドが初秋の夕方のような哀愁感を漂わせています。この手のサウンドにおけるストリングスとブラスのアレンジは、僕が得意分野にしているところでもあるので、楽しんで書き上げました。70年代以降、AOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)、あるいはニュー・ミュージックと呼ばれるジャンルには沢山の名曲が存在していて、そのエッセンスを凝縮していく仕事はまだまだ残っていると信じています。

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2014-09-09 13:45:17

【ニューアルバム楽曲解説11】White March

テーマ:Shared Illusions
タイトルは「白の3月」と「静かな行進」のダブルミーニングになっています。
震災の日、テレビに津波とともに映し出された横殴りの雪が頭にこびりついていました。
現実の出来事として記憶に定着させるには、あまりにも衝撃的でした。
その後、岡淳氏の誘いでジャズ・フォー・東北に参加して被災地を訪れ、いかに恐ろしい災害がそこで起こったのかを頭ではなく体で感じました。

この楽曲は、美しい東北の海外線の景色、自然、そしてまた厳しい気候の中、幸せを求め努力する人々のくらしとともに、ひたひたと忍び寄る放射能の恐怖をイメージしています。
アルバム全体として、震災をモチーフにすることはするつもりはありませんでしたが、逆にいえばいっさいそれを排除する事も不可避だと感じました。
僕が音楽家として出来る仕事として、当然のように表現すべき一つのテーマであると思いこの曲を書き上げました。

震災後にノートPCで打ち込んだピアノのシークエンスとストリングスのテーマを編集しているうちに、7年くらい前に作ったSLOW TECHNOというアンビエント系のデモ曲の硬質なビートとウーリッツァのシークエンスを合体させたときに、この曲の全体像が僕の脳裏にはっきりを浮かびました。
岡淳による二本の篠笛がさらにこの曲の奥行きを広げ、より立体的な映像が浮かんできました。
もともとはダブ的な要素はなかった曲なのですが、こだま和文氏とのデュオユニットでの経験を生かしたいと考え、大胆なダブ処理(ディレイなどのエフェクト処理)を施すことにしました。

大好きな映画音楽「砂の器」から受けた影響も少なからずあります。聴く方々がそれぞれの記憶をこの曲に照射させて、思い思いの映像を結実していただけたら作曲者冥利につきます。
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2014-09-06 13:14:16

【ニューアルバム楽曲解説10】Many things to worry...

テーマ:Shared Illusions
トレーラームービーの冒頭、吉澤がクラシックギターをチューニングする姿から、おもむろに弦をつま弾く映像を観て驚かれた方もいらっしゃると思います。
僕がギターを弾き始めたのは5年くらい前です。ブラジル音楽に傾倒している妻に、ボサノバの弾き語りが出来るようにとクラシックギターをプレゼントしたのですが、コードの押さえ方を教えるつもりで、一から教則本やYouTubeの教則ビデオを参考に習い始めたところ、すっかり自分がはまってしまったのです。妻に教えるのはそこそこに、四六時中自宅の居間で練習三昧の日々を送り続けました。古道具屋で自分専用のクラシックギターをもう一本購入して、さらにジャズギターを勉強するぞ、と意気込んでセミアコまで手に入れました。
その頃の僕は、実際のところ、ピアノを弾く時間の10倍以上ギターを練習していたと思います。一時期は共演するギタリストに片っ端から質問攻めをして、迷惑をかけたなと今は反省しています。2年くらい経ったころ、度胸をつけようと、国立のfukusukeでもステージで演奏しましたね。ここ最近は人前で演奏する事もなかったので、もうやめたのですか?と訊かれる事もたまにあったのですが、弾きたくなるバイオリズムに合わせてちょこちょこやっています。

というわけで、今作ではこのMany things to worry…のイントロでギターを弾いています。曲のタイトルの由来は、勘のいい方はピンと来ると思いますのでここでは発表致しません。クイズにしますので、実際リリース後に楽曲をお聴き頂いた上で回答をどしどしお寄せください!いくつか回答を頂いたあかつきには適当なタイミングで正解を発表しますね。

この曲はいわゆるハウスチューンになるのですが、メロディやコード進行、展開などにふんだんに吉澤印のソースをかけてあるので、BelieveAgainやSweetWayなどの吉澤節が好きな方にはとても楽しんでもらえるはずです。ブラスシンセのコード・カッティングやエレクトリック・ベースのライン、後半ブレーク後のラテンパーカッションなど、MAW好きの方にもピンと来ると思います。年齢がある程度いっている人には、懐かしいシンセドラムのタム音にキュンとなるかも。

この手のリズミックな曲で、ピアノのアドリブをとるのは昔から大好きで、レコーディング中のもっとも楽しい仕事の一つです。中盤たっぷり40小節あるピアノソロパートをぜひお楽しみください。
楽曲後半で聴くことができるフルートと子どもたちの笑い声、叫び声は、東北巡業での岡淳氏と園児たちのやり取りをインサートしたものです。楽しい情景が浮かぶのではないでしょうか?
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2014-09-03 14:27:30

【ニューアルバム楽曲解説9】Darknight(Moonshine)

テーマ:Shared Illusions
大阪のFM局が数日前、今回のアルバム曲をオン・エアーしたという話がありました。その際、プレイされたのが本日解説するDarknight(Moonshine)。確かに、夜の落ち着いた時間にFMで流れてきたら気持ちのいい曲だと思います。

スムーズなグランド・ビートに爽やかなシンセ・ストリングス。フェンダー・ローズのあたたかいトーンが全体を包みながら、印象的なコード進行を演出します。その舞台の上で、歌心あふれる五十嵐一生のトランペット、吉澤のボーカル/コーラス、Mincoのコーラスがそれぞれの役どころを演じてゆきます。今もって高い人気を誇る楽曲「The Room」(アルバムMusic from the edge of the universe収録)の2014年バージョンといってもいいかもしれません。

コーラスのMincoは吉澤の出世作でもあるSecretFlight,Beyond the Sunshineをはじめ、諸作品で透明感のあるコーラスで楽曲に独特の明るさを加えてきてくれました。今作のこの曲においては一人シンガーズ・アンリミテッドあるいは女山下達郎ばりの、4声ハーモニーを聴かせてくれます。(実際は吉澤担当の低音部2声分を加えた6声ハーモニーになっています。)

五十嵐一生のトランペットを録音したのは、首都圏に記録的な大雪が降った日でした。午後2時すぎから録音に熱中していた為、夕方ふと気づくとスタジオの外の風景が激変していて、大慌てで雪かきしたのを覚えています。抑制の利いた彼のプレイは、スペーシーで想像力に満ちあふれたものです。トランペットにはミュートとオープンという二つの代表的な演奏法があるのですが、ソロの途中で、この演奏法が入れ替わる事でまるで二人の五十嵐一生が会話をしているかのような効果を生みました。

歌詞はこれ以上シンプルに出来ないというギリギリの文字数で構成しました。
これは、リフレインすることの気持ち良さもあるのですが、一番意識したのは俳句です。
実は、吉澤の父方の祖母、故吉澤久子は歌人でありました。
少年の頃に、彼女の句集を見たときには、その意味や出来の善し悪しは判然としませんでしたが、大人になったときに読み返したときは少なからず衝撃を受け、感動したのを覚えています。

現在、彼女の孫の誰一人、文筆業を生業とするものはいませんが、彼女の才のほんのひとかけらでも、自身に見いだしてみたい、という切なる気持ちはいまだにどこかにあります。

画像は亡き祖母。吉澤久子。合掌。

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2014-09-02 13:11:11

【ニューアルバム楽曲解説8】Azure Forest

テーマ:Shared Illusions
ときに、CM音楽などを制作する過程で没テイクとなったトラックを「野村」再生工場ならぬ「吉澤」再生工場で、復活させることもあります。むろん、そういった例はそう多くはなく、たいがいは僕のPCのアーカイブにうずたかくつもっていきます。しかしそれでも「没にするにはあまりにもったいない」「思い入れのある」「時代に直リンクできるようなタイムリーな」というように、様々な理由で再生工場のラインにあがってくる素材があります。

それが本日ご紹介するAzure Forest。
もともとは某シューズ・メーカーの90秒のPRフィルムを任されたある映像作家兼プロデューサーA氏からコーディネーターB氏を通じて吉澤に仕事依頼があり、取り組んだ仕事から生まれた曲です。
実はこの仕事で提供した10曲を超えるデモがすべて没!という、前代未聞の事態が生じました。
優秀なCM音楽制作者で、ドラマーでもあるコーディネーターの方は、どのデモ曲も大変気に入ってくださったのですが、A氏からはひたすら意味不明のダメ出しの連続をくらってしまい生まれて初めて途中で仕事をリタイアしました。
今回、アルバム制作にあたり数年ぶりにあらためてその楽曲群を聴いてみたのですが、最優先で再生、復活させる価値があると思いました。

タイトルはAzure Forest。蒼色の森
没曲それぞれは、同じ映像のために制作されたものでしたので密接に関係していました。そこで、それらを楽章形式にしてつなげ、さらに標題音楽としてブラッシュアップしていきました。

第1楽章にあたるパートは僕が勝手に「未明の月から日の出前」と名付けているのですが、どんよりした湿った土の匂いを思わせるミステリアスなサウンドです。デモ段階で自分自身で叩いたドラムがとても気に入っていたので、そのまま使い、そこに白鳥利卓のウッディなベースサウンドをダビングしました。初期のダラー・ブランドを思わせるピアノコードの刻みに、ハープが絡みます。

どんより低い黒雲のすきまからが歪んだ太陽が赤光を放ったとき、ウォーキング・ベース・ラインが大地を這うように時を刻みはじめます。第2楽章「朝露」。藤井伸昭と白鳥利卓のスムーズなスウィング・ビートから、五十嵐一生とレイモンド・マクモーリンの黄金コンビが、きわめてキャッチーなテーマをユニゾン。クールなローズのコードがシルキーな空間を演出します。後半は、パッド系のシンセサイザーがフェードインしてサウンドの温度をじんわり上げます。

そこから、さらにテンポアップした第3楽章「道行き」がスタートします。案内人は岡淳のピッコロ。テーマ部ではチェレスタも加わり、ピッコロと涼しげなメロディをユニゾンします。リズムの裏では、和を感じるパーカッションも加わり、どこか戯けていて、古い村の踊りのようでもあります。旅の終わりにさしかかると森の中の渓谷を前にして、道が一瞬途絶えます。

第4楽章「森から頂へ」
そこに現れたのがレイモンドのソプラノサックス。翼を広げ飛びたつと、重力に反しぐんぐん揚力を上げて、一気に渓谷を渡りきる。さらに藤井、白鳥のリズムがギアがあがると、さらに谷の向こう側の森を俯瞰しながら、高度を上げていく。旅人を頂上へと導く調べ。

完成したAzure Forestは、もともとが別の曲であったものの集合体とは思われない作品に仕上がりました。それは、まぎれもなく高い技術と想像力を持ったそれぞれの演者の力が結集したからに違いありません。
この曲がクラシック音楽という揺るがないフォーマットを借りており、その歴史や発想があったからこそ、現代の音楽が脈々と息づくのだという事は絶対的な事実でしょう。ジャズには不可欠といわれているアドリブもほとんどありません。
しかしながら、それでもこのAzureForestの裏側に流れているのはジャズ特有のエネルギーだと僕は信じます。

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2014-08-31 15:20:57

【ニューアルバム楽曲解説7】Awareness

テーマ:Shared Illusions
硬質なヒップホップ系の打ち込みドラムと太くディープなシンセベース。ローズがイントロの途中でSoul 2 Soul を思わせるコードを刻みます。ピアノとグロッケンによるテーマメロディはジョー・ジャクソンのナイト&デイのオマージュ。
各所に細かくちりばめられた80-90年代のテイストは、全曲からの流れでもあります。

曲名、Awarenessというのは、私の義理の叔父であるピーター・アースキン氏の「TIME AWARENESS」というドラムの教則本にちなんでいます。
音楽を聴くときに、その曲が何分の何拍子とか、何連符のメロディだとか、考える必要はないと思います。。純粋に空気が揺れて発生する音の波に体をまっすぐにあずければ、自然と色々な体験や発見が出来るのだと、僕は思います。
その上で、色彩や図形の錯視効果や手品師の仕掛けるマジックのような効果を音楽家が聴き手に与える事が出来るのも事実で、この曲においても、単純なロックのリズムに、4小節ごとにかなり複雑なポリリズムを放り込んでいます。まるで1日や1週間のリズムのように、周期的に繰り返すこのようなリズム。ループと呼んでもいいでしょう。このループはときに不思議な催眠効果を得られます。
さらにこの曲のサビでは、16分音符5個分の長さのメロディが7回続く不思議なセクションがあります。このサビ部分は、先ほどの4小節ループのリズムパートに対して、非ループ。つまり非日常的なスペースになっています。

かなり、小むずかしい事を書いてしまいましたが、僕にとってヒップホップというカテゴリーはこのようなユニークな試みが可能だという事を示してみたかった、という事がいいたい訳です。
先駆者であるQtip氏のようなアーティストは、常にこのカテゴリーの可能性を切り拓く天才開拓者です。
手前味噌になってしまいますが、この曲「Awareness」を聴く上で拙作、Music from edge~のMy favorite kissやHajime YoshizawaのPentagon,Yesterday's Tomorrowなどを聞き返していただけたら大変うれしく思います。
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