ブログを始めた約10年前と違って、今や楽器改造や音色の確認は、簡単に動画で手に入ります。しかも正確な知識と熟練の技術に基づいた、つまりプロリペアマンの動画も多々あげられており、ネットの発達に驚きます。
そうすると素人の怪しい知識と未熟な技術をブログで記す、というスタイルはかなり時代遅れだなと最近感じ、随分と更新が滞っていました。もっと言えばいろいろ心の変化等あって(これはおいおい記します)「改造」自体しなくなったのですよね。
まあ、でもたかが個人ブログだし、関わってきた楽器のことを書くのも、備忘録になるということで今後は改造以外の記事を気軽に残していきましょう。今回のテーマは「ベースギターのお掃除」 です。バンド仲間Mさんから「息子所有のベースのトータルケアをしてくれないか?」ということでFenderJAPAN Aerodyne Jazz Bass(フェンダージャパン エアロダインジジャズベース) を預かりました。
Mさんの家は海岸近くです。本機は長年そのままスタンドに掛けられていたそうで、潮風による被害が甚大です。清々しいくらいの錆びっぷり。
指板もカビ、ホコリ多め。
こんなに汚いと、 ワクワクしますね!
では掃除しましょう。
まず、ネックとボディを分離し、金属パーツもバラします。
指板からいきましょう。おなじみの「マジックリンクリーニング」です。
満遍なく塗布したら、ウェスで広げる。
そして20秒くらいの「汚れが浮き始めたかな?」という白さの時に素早くふき取ります。
ふき取った後も洗浄成分は浸透していくので素早く。
※長く漬け込みすぎると、ローズウッドの茶色も落ちて白化するので注意です。
キッチンペーパーで強めに拭いて汚れを取りましょう。
続いてマスキングテープを指板に隙間なく貼り、ピカールでフレットを磨きます。
私は画像の金属磨きで粗くこすったあと、フェルナンデスのスクラッチメンダーで細かく仕上げています(意味があるかどうかは不明。たぶん気持ちの問題)。光沢が出ていい感じになってきました。
マスキングテープを剥がし(指板に残っている汚れもついでにとれます)、保湿のオレンジオイルをたっぷり注入。潤いが出てきました。この瞬間が好きです。
金属部も磨きましょう。クレンザーと硬質たわし、歯ブラシでゴシゴシいきます。ここ結構力使います。
完全とはいいませんが、だいぶサビも取れてピカピカしてきました。
いいですね~。
ヘッドやボディもポリッシュで丁寧に磨いて、風通しのいい場所で乾燥させます。
このエアロダインベースのデザインは結構好きです。
・マッチングヘッド
・ボディのバインディング
が実に格好いい。
金属パーツを組み、ネックとボディを結合します。
最後に反り調整、Rに沿ったサドル調整、オクターブチューニング等を行ってトータルメンテ終了!
つやつやぴかぴか。
この瞬間が気持ちいいのです。
いやあ。楽器いじりって本当に楽しいですね。
M氏の息子よ、これからはこまめに拭いてちゃんとケースに保管するのだよ。
※おまけ
「マジックリンで指板清掃」は、リットーミュージックから発行されたベースメンテ本「メンテでベースが弾きやすくなる理由 弾きにくい理由」で紹介されている、ちゃんとした清掃方法ですが、試すときは本文でも触れた通り「ほんの少しつけたらすぐ拭く」から始めた方がいいと思います。私は長くつけすぎて、ローズウッドをだいぶ白くさせた失敗を経験しています。もちろんハイエンドベースやヴィンテージベース(さすがにそんな愚か者はいないと思うけど)にはやめましょう。何かあったら取り返しがつきません。