天守よりガラスのビルへ初燕   伊藤 由紀子

 

句集『天女の湖』より

 

この作品が、初期のころだとは信じがたく思います。

長年、アート刺繍をされていたからか、

感性が鋭く、捉え処がしっかりしているようです。

大阪城で詠まれたこの作品は、

師である沢木欣一も絶賛だったようです。

 

「ガラスのビル」という表現が、心に響きます。

天守よりガラスのビルへ、一気に飛んでくる燕は、

季節のさきがけの使者、初燕です。

その勢いもさることながら、天守よりビルへという

時代を飛び越えて来るような、印象も

この句の魅力でしょう。

 

私の大好きな一句です。

 

 

 

 

カノン