現在放送中のゾイドアニメ最新作「ゾイドワイルドゼロ」に、BBC版SHERLOCKでシャーロック・ホームズ(演 ベネディクト・カンバーバッチ)の吹き替えを担当した三上哲さんが出ると知って取り乱してしまった。
仕事運の無さは神を恨む勢いだが、友人運と「好きなものを芋づる式に引き寄せる運」だけは神に感謝する。
本家本元のゾイドバトルストーリー(通称バトスト)は詳しくないけど、アニメ(無印・GF編・ゾイゼロ)を見るに
「共和国=民主的で平和」
「帝国=物騒な軍事国家」
みたいなイメージがある。
平たくいうと「共和国は正義、帝国は悪」みたいな(GF編でその印象は薄れたとはいえ)
無印、GF編で主人公だったバン・フライハイトは共和国軍に所属していたし、やはり共和国がメインだったのは間違いないと思う。
だからあえて、共和国と帝国、そのどちらにも属さない人々の物語が観たい、と常々思っていた。
緩衝地帯とは地政学の用語で、大国に挟まれた地域を指す。
対立する二つの国の間にあり、そのクッションとなる場所。
似た言葉に緩衝国がある。
複数の大国に挟まれ、大国同士の衝突を防ぐ目的がある。
例えば、第一次大戦前のベルギーはイギリス・フランス・ドイツ3ヶ国の緩衝国であった。
ゾイゼロ第3話で「領空侵犯」という単語が出て来た。
バズが冒頭で語っていたように、あの場所はもともと帝国でも共和国でもない場所だった。
そこへ、帝国が新しく基地を設け、軍事演習を行った。両国の関係は火のついた導火線、今にも事が起きそうな事態なのかもしれない。
ゾイド世界で初めて「国境」について触れた事例かも知れない(過去にすでに出ていたらスマン)
この世界での帝国は、名前の通り帝国主義的な国なのだろうか。
無印・GF編の帝国は、幼帝ルドルフを傀儡にしようと暗躍した宰相プロイツェンが黒幕であった。
ゾイゼロではまだ地方勤務?の軍人さんたちしか出て来てないので、両国の中枢がどうなっているのかは物語が進むのを待つしかない。
ゾイゼロ世界の帝国は、帝国主義的に領地拡大を目的としているなら、その理由はなんだろう。
地球環境に適応して増えた人口を賄うため、居住地を増やす・農工業地を得る・資源を得るなどだろうか。気になるところだ。
さて、話は飛ぶが、「戸籍」というのは面白い。
日本で作られたはじめての全国的な戸籍は、飛鳥時代の庚午年籍。
戸籍は行政(国家)が人民を管理する上で欠かせないもので、もとは徴税、徴兵に不可欠であった。
これは稲作の普及によって人々が特定の地域に定住するようになり、安定して税を納められるようになったことが大きいと思う。稲作はすごい。
同時に保管した作物を巡って集団間での争いが頻発、環濠集落・高地性集落など防御力の高い(いわば一種の城塞のような)ムラが生まれたのも興味深いが、話が逸れるのでやめておく。
最近18年ぶりに新作がお披露目され世の話題を掻っ攫った『十二国記』シリーズにも、戸籍を持たず、芸能や商売をしながら移動する「黄朱の民」が出てくる(『図南の翼』)
戸籍のない、国家に属さない人々。
ゾイゼロの主人公レオと、その兄貴分のバズは「運び屋」である。
彼らの素性は今のところわからない。
出身地はどこなのか。家族はいるのか。2人がどうやって知り合ったのかもわからない。
第3話では、バズが運び屋の「ライセンス」を軍に提示していた。
免許を取るにはおそらく戸籍が必要なのではないかと思うのだが、そのへんはどうなのだろう。
ゾイゼロの主人公たちが「どこにも属していない」ことは、私にはとても魅力的に思える。
『KING OF BANDIT JING』「樽なき酒の街」のボトルベイビーだ。過去がない人々。
過去がない彼らはどこにでも行けるし、未来がある。
願わくば、ゾイゼロの主人公は「共和国=正義、帝国=悪」というテンプレから逸脱してほしい。正義と悪、どちらにも属さないでほしい。
とはいえ、どっちかに属したら、それはそれで面白そうだから観ます。