秘剣はぐれ侍  斬る!斬る!斬る! 

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ちょっとHなものから
シリアスなものまでをすこーし世の中からはぐれた
侍が書いているのでみてやってもいいよと言う人は
お付き合いください

腐った世の中に秘剣を振るう


はぐれの剣客日記




ここで、発表された書き物に関しての無断転載は禁じます。


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やっと通常モードに戻った感じです。

というわけで長々書いてきたこれも今回で終わりです。

次のテーマを探っている最中ですので、自作は少しお待ちいただければと思います。

 

(22)

「あ、ミスリードとか思っている?」

 いちいち癇に障る言い方でムカつく。しかし、けなされるような行動をし続けている自分には言い返す資格が無いことも自覚している。

「そうだよ、思っちゃ悪いのか?」

「いいよ、だって多分そうだもの」

 あっさりと正解が導き出された。まあタネは分からないのだけれど・・・。

「俺、そんなにイージーなのかな・・・」

「まあそんなに落ち込むなよ、三流大学出程度の知識じゃプロにかかればイチコロさ」

 慰められたのかそうでないのか。まあ馬鹿にされていることだけは確かだ。

「さてと、まあその小さな脳味噌で理解できるわけもないから、かいつまんで話すわ」

 話を要約すると、私の行動パターンを読まれて逃亡先になるであろう風俗ビルに自分の手下を張らせて居たというわけだ。しかし、工作員にはとても思えなかった。何度かああいった店に行ったことはあるが、それと遜色ない感じだったし生活感もあってそこに住まう者の空気感みたいなものも感じた。

「気づかない俺は愚かだろ?滑稽だろ?」

「自覚あるんだ。まだ救いがあるよ」

 

 遠くで何人もの人間が連行されていくのが見える。その中には見知った顔もどこかで見かけた顔もある。おびただしい数珠繋ぎの人に野次馬も何が起こったのかと噂する。私もその部外者の一員になれたらどんなに良かったか・・・。

「さてと、坂下くんも行こうか」

「どこへ?」

「分かるだろ?もう昔の君のまま今後の人生を送ることができないって」

 小説とかでしか聞いたことのないことが現実にで起きている。私は今までの人生を捨てて新しい何者かとして生きて行かなければならなくなったようだ。悪夢から開放されるなら誰だってそうするだろう。そして私もそうなった。坂下は死んだ。吉鳩市から市民が一人減ったがそんなことを気にする人間などはあまり居ない。居たとしてもすぐに忘れるだろう。風俗街にネオンが灯る、それまでいた中国人に変わって韓国人と東南アジア系の顔をした者がいつの間にか住み着いている。なにわともあれたくましい連中と街に違いない。市長選開戦を告げる車が街を練り歩く、首から上が変わっても根っこの部分は何も変わらないのに・・・。

 

                               (おわり)

 

ご意見・ご感想をお待ちしております。

 

 

 

                                         はぐれ


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今年は10連休だってさ

ということで当ブログもGW中は更新は休みになります。

 

(21)

 車窓から見える景色はビルや歓楽街があるところから離れていき、何もない山奥へと入っていった。車が止まって眼の前には小屋らしき建物がポツンとあるのが見えた。多分ここへ入れということなのだろう。

「いつまでここに?」

「さあ?」

 こいつ喋れたんだと分かった瞬間だった。

「あ、そう。今度差し入れがあるときは明太子入れてくれないかな。俺好きなんだよね」

「・・・伝えておく」

 悪いやつではなさそうだ。中に入るとテレビはなくてラジオが一つあるのとデカイ冷蔵庫があるだけだった。

「マジかよ」

 吉鳩市の市長選が近い。候補者の選挙カーの声がかすかに漏れ聞こえる。そういえば有力候補と噂される代議士もうちの会社のライバル企業の取締役だったかなんかだったのを思い出す。まあ投票に行かないのだからどうでもいいことだが・・・。

 

 ラジオなんか聞いたのは何年ぶりだろうか。何曜日の何時にどういった番組をやっていると言うまで聴き倒しヘビーリスナーに変化した私に、唐突に彼が会いに来た。

 

「坂下さん。元気してた?」

「明太子は?」

「ああ、あれ本気だったの?」

「当たり前だ」

「今度な」

「まだここに居させるつもりか?」

 この男の返答には期待しては無かったが、はっきりと言われてしまうとそれはそれで来るものがある。

「いつまでなんだ?」

「少なくても、今は駄目だな。あとイイことを教えてやるよ」

 差し出された資料を見て、全身からかいたことのないような汗をかいているのをはっきりと感じた。

「本当なのか?」

「まあ、極秘というわけでもないので教えてやるよ」

 そこには見知っている顔の写真に、聞いたことのない名前が記載されていた。私を助けてくれたあの人は、黄なんていう名前ではなかったのだ。しかもその経歴にはもっと驚いた。

「中国共鳴党工作員ってなんだ?」

「そのままだよ。手段は選ばないってやつさ」

「仕組まれていたと?」

「変だと思わなかったの?」

 確かに冷静になって考えてみると、見ず知らずの日本人を助けるなんて正気の沙汰ではない。しかし、私があの店に入ったのは全くの偶然だったはず・・・。

「今偶然あの店に行ったのにって思ってない?」

 どうしてこの男は人をおちょくるような表現しかできないのだろう。

「ああ、そうだよ」

「馬鹿だな、ちょっとした心理学さ。あんたの周りにはあそこへ誘導するようなことが山のようにあったのさ」

 なんかマジシャンが決められた答えに誘導するといったテクニックがあると話に聞いたことがある。今回のこともそれなのだろうか・・・。

 

ご意見・ご感想をお待ちしております。

 

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すいません、一週抜かしました。

どうも最近忙しくていけません。という言い訳タイムですw

 

(20)

 誰も出社していない時間帯、それを狙った。私は前日朝から机の配置換えをしたいと申し出て早出する許可を取り付けていた。こんなことに知恵を働かせたくはないのだが、後ろめたいことをするのだ、それぐらいの下準備をしないと決行する気になどなれない。

 ついにメインPCの前まで来た、うちの会社は入るまではセキュリティが厳しいのだが、入ってしまえば嘘みたいにセキュリティが甘い。現に一介の社員がメインサーバーの前に立てているのだから。

「もうどうにでもなれ」

 PCのUSBを刺そうとしたとき、机の上の何かが震えて静かな部屋に振動音が鳴り響いた。

「うわっ」

 これをされて驚かない人間など居ないだろう。机の上で見知らぬ携帯が暴れている。まるで生き物のように私の方に向かってくるから怖い。

「驚かすなよ」

 誰かの忘れ物だろうか、ちょうど画面が上を向いていたので覗き込むとこともあろうと私の名前が画面に表示されているではないか。

「どうして・・・?」

 訳がわからなかったが、多分これは取らなければならない電話なのだろうことは理解できた。

「もしもし」

「あ、坂下くん。早出ご苦労さま」

 その明るく素っ頓狂な声には聞き覚えがあった。

「あなたは公安の・・・」

「お、覚えててくれたんだ。話が早くて助かるよ」

「今度は何をすればいいんだ?」

「これまた話が早くて助かるよ。指定された差込口にUSBを差してもらえる?」

 言われるままに指定の所へ預かったUSBを入れる。たちまちHDDが唸りを上げて読み込みを始める。何がどうなっているか分からないが、もうなすがままに事の次第を見守ることにする。

「終わったみたいだけど?」

「ご苦労さん、それじゃみんなが出社するまでデスクで待機してもらえる?」

「俺はやつに事が終えたら、消えるからって言ってあるんだけど?」

「心配しなくてもいいよ。アリバイの電話をしてあげるから。後、もう一仕事あるからがんばってね」

 多分おれはキーマンなのだろうが、選択権というものは等に失っていると思っていいだろう。就業時間が始まる前にアリバイ電話やらがあり、上司に呼び出された俺は居もしない親が運ばれたという病院へ行くことになった。

「あ、坂下。なんか親戚のおじさんの図らいでタクシー手配しているらしいから、mそれで行ってくれって」

「はい」

 俺は公安手配の車で今度は何をさせられるのだろうか、誰も質問に答えてくれないまま車に乗り込み全く会話もできない運転手とどこかへ向かって走り出した。

 

 

                                        はぐれ


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なんか熱くなったり寒くなったり

わけわからん天気やな

 

(19)

 坂下の会社が終業時刻を迎える。技術者が残った部屋の灯りだけが点いていて、作業は深夜にまで及んでいるようだった。日付が変わろうとしている頃、正面玄関に作業車が止まり中から数名の作業服を着た人間が降りてくる。

 翌朝その作業員たちはどこにも居ない。オフィスは何事もなかったかのように始業時間を迎える。一応メンテナンス中の看板はかかっていてサーバーは未だに使用が不可能の状態になっている。ということは坂下も未だに動けないということだ。

 とうとう一週間の間ずっとメンテナンスが終わることはなく、週末になり坂下には休日が訪れていた。

坂下の住居は未だに先輩の部屋を無断拝借している状況でなるべく目立たないように暮らしている。

―コトン

 郵便受けに手紙が入った音がした。テレビもラジオも点けることは無いので、少しでも音がするとすごく目立つ。なので手紙が入ったときもすぐに分かった。

「嘘だろ・・・・」

 内容はこうだ。初めて会った場所に来い・・・だ。嫌な記憶が呼び覚まされる。今でも夢であってくれとそう思うことは少なくない。

 しかしながら、この場所がバレているということは行かなくてはならないということに他ならない。

 足取り重くあの場所に赴くと、前と全く同じ場所にあの男は立っていた。

「来たナ」

「何のようだ?」

「分かっているダロ?どうして実行しない、死ニたいのか?あのオンナだって・・・」

「今できる状態だと思っているのか?メンテナンスが毎日行われているんだ。数日の予定が延びている。どうしてそうなっているか上層部ぐらいしか知らないんだよ」

「ヤレ」

「すぐにバレるぞ」

「それでもヤレ」

「俺の部署は、機械に近づくだけで怪しまれるような仕事しかしていない。無理にも程があるだろ」

「何でもいい理由をツけて残業でヤレ」

「無茶いうな、俺は未だに定時出社しかできない社員で通っているんだぞ。それが残業をするなんて言ったらそれこそ怪しまれる」

「うるさい、ヤレと言ったらヤレ」

 もう聞く耳すら持たないと言った感じだ。こうなっては奴らの言う通りにするしかないように思えた。

「分かった。どうなっても知らないぞ。俺はこれをやったらもう出社しないから後はそちらでうまいことやってくれ」

「逃さないヨ」

「どうなろうが会社なんて居られるわけがない。俺の感情が持たないよ」

 ついに決行の日が来る。その日は朝から土砂降りでそのことからも決行するには足取りが重くて仕方がなかった。

 

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期末なもので

忙しさたるや半端ないです・・・。

先週も更新できなくて申し訳ないです。

 

(18)

 翌日、とても運がいいことが起きた。サーバーのメンテナンスが延期されることが決まったのだ。これで少しは時間が稼げるが、根本的な解決には至っていない。USBは今なおカバンの中にあるが、その出番がこのまま来なければいいと思いつつ時間だけ過ぎていく。翌日もメンテ中ということで、仕事の少ない社員は昼で上がっていいというお達しがあった。もちろん私は重要な仕事など任されているわけもなく、昼で上がる組の方へと入っていて、午前で仕事を切り上げて会社を後にした。

 することなどなにもない、あったとしても今の心境では何も入ってはこないだろう。当てもなく公園に行くと子どもたちが遊んでいるのが見えた。この歳で公園なんかに座っていると無職にでも見えるのだろうか、道行く人の視線が心なしか冷たい。

「なんだよ、何も知らないくせに・・・」

「知っているよ」

 突然汚い格好をした浮浪者が話しかけてきた。

「びっくりした。誰だよあんた」

「忘れてくれるなんて寂しいよね」

 確かに傍からみると浮浪者にしか見えないが、この目には覚えがある。公安の男だ。

「名前も知らない奴を覚えておけと?」

「名乗ってもいいけど、それは無駄なことだ」

 多分こいつらは名前を名乗った所で、偽名なのだろう。だとすると私にそれを告げたとしても無駄だと言うことを言っている。

「で、今更何のようだ?」

「冷たいな、いい話を持ってきたのに」

「俺の状態も知らないで」

「言っただろう、知っているって」

「何をだよ?」

「まあ、結構やばい状況だよね」

「なにっ?」

 この口調や素振り。こいつは私が置かれている状況を知っている。だとするとなぜ今まで接触してこなかったのか、静観をしているだけだったとしたら憤りを通り越して呆れさえある。

「ただ静観していただけとか言わないよな?」

「まあ、それもある」

「てめえら、それでも警察官なのか?」

「まあ、特別ではあるが警官ではあるよ」

 公安という組織の人間はどこか性格が歪むのだろうか。小説とかテレビとかで見る奴らと何ら変わりがない。まるで鬼が人の皮を被ったような奴らだ。だがもうそんなことはどうでもいい。これから自分が生き残るのをどうするかが一番大事だ。

「で、無策じゃないんだろう?」

「じゃ、死んでもらおうかな」

「本気で言っているのか?」

「本気だ。それしかお前を救う手立てはない」

 

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                                   はぐれ


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年度末。

平成最後の年度末。

いつもと同じ忙しい年度末。

変わらないんだな・・・。

 

(17)

「この女が余計なことしたから計画がオクレた。その代償を支払ったダケ。坂下サンこうなりたくなかったら言うことちゃんとキクね」

 異常なことが起こりすぎたせいか、もうどうにでもなれっていうのが頭の中を支配していた。

「分かった。何をすればあんたら満足なんだ?もうこんな生活まっぴらだ」

「素直になったナ、これを」

 刺し出されたUSBは漆黒で、禍々しい雰囲気を感じるものだった。

「これをどうすれば?」

「簡単、会社のメインPCとサーバーに挿せばいいダケ」

 これを挿せば間違いなくなにか情報を盗まれ、この国になにか良くない影響を及ぼすものと思われる。しかし、自分の命と天秤にかけるとなるとそれが国家の大事だろうと関係のないことだと思った。

「受け取るが、すぐにはできないと思うぞ」

「?」

「会社のメインサーバーは今メンテに入っているんだ。だから技術者がわんさかいるから今それをしたとしてもすぐに見つかってしまう」

「嘘ジャナイね?」

「調べてみろすぐに分かるから」

 会社のサーバーがメンテに入っているのは本当だ。しかし、そんな大掛かりなものでははなく定期メンテですぐにでも終わってしまうというのが本当だろう。だが、少しでも時間を稼いで先延ばしにしたかった。その間に打開策が見つかるかもしれないと思ったからだ。

「実行しなかった場合、このオンナどうなるか分かって・・・」

 言葉を遮るように坂下が叫ぶ。

「分かっている、上手くやってやるよ、早く渡せ」

「ふん」

 こちらがそんな態度に出たものだから、相手としても面白くなかったらしい。USBメモリの渡し方が雑だった。

「いいのか?ことが成就するまでは俺がキーパーソンなんだろ?」

「あまり調子にノラナイ」

「ふん、俺だって好きでこうなったわけじゃないさ。お前らがそうしたんだろうが」

 怒りと冷静さがうまい感じにミックスしたというのは、あの時の自分の態度のようなことを言うに違いないと後から思った。

 帰りすがらこれからどうしたらいいのか考えていた。素直に応じてUSBを挿すのか、それとも自分が犠牲になり中国人の言いなりをやめるのか。言いなりになるのが一番楽なように思えるがそれだと先輩の二の舞になりかねない。あの人は断ったからああなったように思うが、どの道成功してもああなるような気がする。だとしてもやらないと殺されることは決定だろう。

 

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すいません。同じ話を上げたことに今の今まで気づきませんでした。

上げ直しました。

 

(16)

 公安の人もいい言い訳を考えてくれたもので、母の検査なので休ませてくれと言ったらすぐに会社は休みをくれた。

 今もあの風俗店は変わらずに営業を続けているようだ。決して活気があるとは言えないがそこに佇んでいるのが元気な証拠とも言える。黄は居るだろうか。主みたいな存在だったので居ることは居るだろうが指名するのも変だし、どうしようかと考えているといたずらに時間は過ぎていった。

 夜は更け、日付が変わろうかという時間になっても坂下は店の近くをうろついていた。終わったらあの扉から彼女は出てくる。それがいつも光景だった、だがその日はいつまで経っても彼女は現れずに店の灯りも落ちてしまった。

「変だな・・・」

 多少の変装はしていたが、見る人が見ればそれは私だと分かってしまうだろう。ましてやこの店の近くだと発見される確率は格段に跳ね上がる。せっかく待ったので話をしたかったが、来ないものを待っていてもしょうがないので帰ろうとすると背後の誰かが立つのを感じた。

「どこ行ってタノ。探したジャナイ」

 背筋が凍るような声。その瞬間から体の震えが止まらなくなった。

「まだあのUSBは持ってイルか?」

 あの夜渡されたUSBメモリーはとっくの昔に投げ捨てた。今頃はドブ川の底で漂っていることだろう。

「無くした」

「ふふふ、まあイイね。今度はちゃんと仕事してもらうから」

 バチバチっと音がしたかと思うと背中に激痛が走り、その場に崩れ落ちた。

 

 目が覚めると、どこかのビルの一室に居た。生活感はまるでなく何年も前に放置されたような荒れさ加減だ。

「手こずらせてくれたから、ちょっとお仕置きシタ。今度言うこと聞かなかったら命で支払ってもらうから覚悟するとイイ」

 多分次は躊躇なく殺すだろう。まだかろうじて生きていられるのは仕事が完遂していないからだ。だが、この一介の社員にどうしてこいつはこだわるのだろうか。もっと優秀な社員はうちには山程いるだろうに・・・。

「今度は逃げられないように、面白いもの見せてヤル」

 椅子に縛れた人間が見える。目はうつろで猿ぐつわを噛まされているので誰かが最初わからなかった。

「黄さん!」

 それは紛れもなく彼女でそれと一見して分からないほど、変わり果てていた。どんなことをされればこうなったのか想像をしたくないほどだ。

 

ご意見をおまちしております。

 

 

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花粉症一気にきすぎやろ

 

(15)

 まあ、そちらが勘違いしてくれているのなら事を荒立てる必要なんて全くない。ここは話を合わせておくことにする。

「そうなんです、大変でした。ですが、なんとか持ち直してくれたのでこれからまた宜しくお願いします」

「そうか、良かったな。また何かあったら言ってくれよ」

「はい、ありがとうございます」

 会社に行くなり上司が事の次第を説明してくれて、何も言わなくても済んだので助かった。

 初日ということもあり、昼からの勤務だったけど定時で帰してくれた。しかし、私が会社に戻ったことを奴らが掴んでいる可能性は大いにある。公安のあの男も出社しろと言っただけで守ってくれるとは一言も言ってはいない。

「くそっなるようになれだ」

 かといって自宅に帰る気にはとてもなれなかった。またも先輩の家へと足が向かっていた。休まりなどしないが、とりあえず寝床があるだけで嬉しい。

 次の日も出社してみたが、何も起こらなかった。誰も特別接触してこないし、先輩の死についても触れてくる人は居なかった。どうやら社内でも箝口令が敷かれているみたいで、あの事件については通り魔にでもやられたのだろうというのが大方の見解だった。

 仕事はそこそこに忙しかった。かといって私にはそこまで重要な仕事は回ってこず、雑用に毛が生えた程度の内容のものばかりだった。

 しかし深夜とかに帰っても一人のところを狙われないとも限らないので、ここは立場を上手く使って母の見舞いがあるからという理由で残業はすべて断った。

 それから2週間が経とうとしていたが、何も起きずに日常の平穏を取り戻したかのようにみえた。

 しかし、それは長く続くわけもなく坂下宛に一通の手紙が会社宛てに届いた。差し出し人の名前はなく、中を開けると“おかえり、遅かったな仕事は覚えているか?”とだけ書かれていた。間違いなく彼らの仕業に違いなかった。すぐにでもあの公安野郎に連絡を取りたいところだが、連絡先を知るわけもなくこれをどうすればいいのかも分からない。仕事といっても何かを依頼されているわけでもないので、待つほかに手立てはなかった。

 自問自答を繰り返す。今まで行動を起こしてろくなことにはならなかった。だけどまだ死んでないのは自分が待たなかった結果とも言えるのではないかとも思っていた。

 ここは一回あの風俗店に行ってみるのが良いのかもしれないと思うようになっていた。あの事件以来足は遠のいていたが、あの店には恩もあるので気にはなっていた。

 

ご意見・ご感想をお待ち申し上げております。

 

 

                                        はぐれ


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祝日です。

先週は忘れてました。ただ単純にw

 

(14)

 公安の男は、普通に過ごせと言う。こんな目にあって普通で居ろとは随分と無茶な願いに聞こえる。だが、それが最善かとも思ってしまう。悩みは尽きないけど、連中に居場所が知られてしまった以上、あのねぐらに帰るわけにもいかない。

 仕方がないので死んでしまった先輩のアパートへ行ってみる。規制線というのだろうか黄色いテープが貼られてはいたが、誰も見張っている様子はない。もちろん鍵はしまっていたのだが、合鍵の隠し場所を以前見ていたのでどこを探せばあるのかは知っていた。

「変わってないでくれよ」

 幸運にも隠し場所は変わってなくて難なく中に入れた。電気ガス水道とすべてのライフラインはそのままで、まだ生きていた。

「これはありがたい」

 電気を煌々とつけるわけにもいかなかったが、風呂にも入ってヒゲもきれいに剃った。先輩のサイズは大きかったが、入らないわけでもなくこざっぱりとした格好へと着替えた。ひと心地ついたらこれからどうしようかと考え始めた。

「俺はこれからどうすればいいのだろうか・・・」

 一つは公安のやつが言った通り出社する。しかしこれには何の裏付けもなく会社に行く前に捕まって先輩の二の舞になりかねないというリスクがある。あとは逃げるとか国外に出るとかだろうが、どちらもツテがあるわけでもなく素人が到底やりおおせるとは思えない。

「出ていくか・・・」

 会社に出社するのが一番意表を付いているのではないかという考えに至る。しかし前のように普通に出社することなど到底できないので、かなり遅れて昼前ぐらいのバタバタしているころを見計らって行くことにした。

 日も高くなってきた頃、坂下は会社までの道のりを歩いていた。人通りも多くてその中に紛れることが出来る、こちらにとってみればかなり条件が整っている状況だ。バレないようになるべく自然にしているつもりだが、恐怖で少し腰が引けている。しかも会社に行くのはいつぶりだろうというぐらいだ。どういった言い訳をすればいいのかわからないまま歩を進めていると、後ろから声をかけられた。

「おい、お前もういいのか?」

 振り返るとそこには上司が立っていて、こちらを見つめていた。

「え?」

「いや、お前おふくろさん大変だったんだろ?」

「え、あの。その・・・」

 訳がわからない。俺のおふくろは数年前に他界していてこの世の人ではない。

「しかし災難だったな。おふくろさんもういいのか?」

「えっと、どこまで聞いてますか?」

 なんて答えていいかもわからないのでこちらから質問してみることにした。

「だって犯人に刺されたんだろ?」

 どこでどうなったのか知らないが、私の会社での休んでいる理由はそうなっているらしいことが分かった。

 

ご意見を待っています。

 

                                      はぐれ

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