日本経済の動向を日経に記事から眺めて見ます。
正直株の問題はよくわかりませんが、私の視点からみた記事を取り上げます。


①地域の農業の自立を促す・全中の指導を廃止

規制改革会議提案全農は株式会社に
2014年(平成26年)5月15日〕(木曜日)
 政府の規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)の作業部会は14日農業の改革案をまとめた。700ある地域農協を束ねる全国農業協同組合中央会(JA全中)が経営指導する体制をやめ、農協が自立して特色ある
農作物栽培ができるよう促す。農作物の販売を担う全国農業協同組合連合会(JA全農)は株式会社にし、流通の効率化を求める。企業参入も後押しして国際競争力を高めたい考えだ。
国際競争力の向上狙う
 改革案は農協、農業生産法人、農業委員会の3つが焦点だ。同日、記者会見した作業部会の金丸恭文座長(フューチャーアーキテクト会長兼社長)は「右肩下がりの農業を変えたい」と述べた。6月にまとめる政府の成長戦略に反映させる。
 農協の全国組織にあたる全中は、農協法で地域農協を指導する権限が認められているが、規定をなくすよう求めた。地域ごとで強みのある農産物や販路は異なる。全中の画一的な経営指導をなくして、地域の特色を生かした農業に育てたい考えだ。
 各地の農協から農産物庖集めて販売する全農は、株式会社にする案を盛り込んだ。資金調達しやすくして、製造業や小売業との連携や輸出に取り組みやすくする。全農は農機具や農薬などを農家に販売するが、ホームセンターなどのほうが安い場合があり、流通の効率化が求められている。地域農協の「バンク」など金融事業は、農林中央金庫や信用農業協同組合連合会に移すべきだとした。
 農業生産法人に企業が出資しやすくする改革も求めた。現在の制度では企業の出資は議決権ベー一スで25%以下に制限されており、法人の規模を拡大しにくい。50%未満まで出資できるようにすれば、資金を企業から募りやすくなり、農業の大規模化や担い手の増加につながると判断した。
 農地の売買を許可する権限を持つ農業委員会は縮小を目指す。農業委は原則として各市町村に置かれているが、統合を進める。農家同士の投票で選んできた委員は市町村長による任命に切り替え、多様な人材を登用しやすくする。′
 主に農業で生計を立てる「基幹的農業従事者」の平均年齢は66・5歳で若い世代の農業参加が必要だ。現在は外部の新規就農者を敬遠する例もあるため、有識者ら農家以外の人が農業委に入りやすくする。
 規制改革会議では今後、農水省などと本格的な調整に入る。仝中の万歳章会長は14日、「提言はJAグループの解体につながり、極めて大きな問題がある」とのコメントを出した。地方の農業地域に地盤がある自民党などからの反発も予想され調整は難航しそうだ。


この農協の改革案はぜひ実現して欲しいと思う。農業の近代化を拒むものが、この農協という化物だ

この提案を実現できないと、日本の農業は衰退して、イノベーションができなくなる。古い戦前の農業という感覚を捨てないといけない。農業はオランダのよう産業化を目指さないと、GDPに占める貢献ども、負担増だけになり、その生産性が悪化すれば、日本農業での食料の自給にも大きな問題が生じる。工業化、工場内生産など計算可能な仕組みをつくるためにも変革が必要だ。自営農という体制から、共同農業(会社化すること)で全体の資金力の機械化の導入を推進させるべきだ。農業生産法人化を促進することで、個人農業者を守れ、という考えが必要なのだ。農業生産法人は個人農業と敵対する者ではなくて、現状の後継者の不足する農業を継続させていく手法と

なるだろう。これは日本にとってとても重要な今日的課題です。


②上場企業今期最高益へ 製造業海外で稼ぐ
5月15日 日本経済新聞
上場企業の収益が力強さを取り戻す。アベノミクスの追い風もあって大幅増益となった2014年3月期に続き、15年3月期も小幅ながら増益を維持しそうだ。全体の経常利益はリーマン・ショック前の最高益だった08年3月期にほぼ並び、上振れすれば最高益を更新する。金融危機や東日本大震災の影響で体力を落とした局面を抜け出る。今期は円安が一服、消費増税の逆風もあるが、競争力を高めて世界で稼ぐ製造業がけん引する。
 14日は3月期企業の決算発表の終盤ピークで、東京証券取引所で300社超が開示した。株式時価総額ベースで、9割超の企業が発表を終えた。
 発表済みの企業で経常利益を集計すると、前期の増益率は36%まで高まった(金融や電力など除く)。今期も前期比2%増と小幅ながら増益を確保する見通しだ。トヨタ自動車やNTTは減益となるものの、62%の企業が増益を予想する。
今期の経常利益の総額は約29兆円で、最高益だった08年3月期の98%に回復。期初は企業側が手堅い予想を出す傾向があり、最高益へ上振れの余地はあるとみられる。東芝の場合、「利益予想は、最低限のコミットメント」(久保誠副社長)で、半導体事業などで上振れに含みを持たせている。

好業績で目を引くのは競争力を高めて、グローバルに収益を伸ばす企業だ。三菱重工業は世界で勝てる事業に集中。エネルギーや航空関連が好調で、今期は18年ぶりにも高益を見込。オムロンは制御機器などを新興市場で拡販。自動車向けも伸び、8年ぶりの最高益となりそうだ。
M&A(合併・買収)で利益を増やす企業も目立つ。ダイキン工業は米グッドマン・グローバルを買収。米国で空調機の販路を広げたことで成長が加速する。ダイキンも含め6社に1社が今期最高益を見込んでいる
一方で収益の立て直しに手間取る企業も残る。

ソニーはテレビの不振が尾を引き、今期も低迷を抜け出せない。精密機静の一部も苦戦が続く。今期の増益率が全体で鈍るのは、前期の円安効果が一巡、消費増税も響くからだ。三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長は「(増税の影響は)最大100億円の減益要因」という。ただ半期でみれば上場企業全体で4%減益の上期に対し、下期は7%増益で年度後半で挽回する見通し。
 人手不足に伴う労務費の上昇が足かせになる企業も出そうだ。大林組の原田昇三副社長は「震災前と比べて東北地方の型枠工の賃金は2・5倍」と話す。
 ただ、利益の伸びを抑えるのは逆風が理由とは限らない。将来の成長のた妙に、前向きな投資に資金を使う動きが相次でいる。次世代車の開発へ費用を積み増すトヨタ自動車のほか、富士通も今期の設備投資を2割増やし、「先行投資を積極化する」(山本正己社長)としている。


③5大銀決算8年ぶり高水準/米銀も復調優位揺らぐ
本業低迷、海外強化が課題
前期最終益2.8兆円
5大銀行グループの2014年3月期決算が14日、出そろった。連番最終利益の合計は2兆8669億円と、06年3月期以来の高い水準芯なった。株高や企業業績の改善などアベノミクスが追い風となった。本業の国内銀行業務が伸び悩む中、新たなビジネスモデルの構敷など課題は多い。(関連記事5面に)
 三菱UFJ、三井住友、みずほの各フィナンシャル・グループが14日発表した前期の最終利益は順に前の期と比べ16%増の9848億円、5%増の8353億円、23%増の6884億円。いずれも最高益を更新した。
 三菱UFJ、みずほ、りそなホールディングス、三井住友トラスト・ホールディングスが14年3月期の増配を正式発表。みずほと三井住友トラストは15年3月期も増配する予定だ。最終利益の水準は高かったが、本業の利益を示す実質業務純益をみると、実は稼ぐ力が低下しつある。
三菱UFJの実質業務純益は前の期比12%減の1兆18一9億円、みずほで24%減の6426億内。5グループ全体で2兆9084億円と11%減少した。ドル箱だった国債売買益が4分の1程度に落ち込んだのが主因。貸し出しも期待ほど伸びず、補えなかった。
 国内の貸出業務の低迷を打開するのは容易ではない。海外部門のほか、証券など貸出業務以外のビジネスを強化できるかが実力を左石する。
 リーマン・ショック後の相対優位を生かし、邦銀は海外収益を拡大してきた。
 三菱UFJの最終利益のうち国内銀行業務はグループ全体の4割弱。リーマン危機前の08年3月期は6割強を国内銀行業務で稼ぎ出していただけに、危機を挟んで収益構造は大きく変わった。増えたのは海外からの貢献。傘下の米ユニオンバンクで575億円、出先の米モルガン・スタンレーで一883億円も最終利益に寄与した。
証券部門も稼ぎ手になりつつある。三菱UFJ証券ホールディングスが977億の利益を計上した。
 傘下に入れたタイのアユタヤ銀行の収益も今期から加わる。三菱UFJでは数百億円の上乗せを見込んでいる。
 三井住友も、SMBC日興証券が646億円の利益をあげるなど、貸出業務以外のビジネスの収益が拡大。みずほ証券も512億円の利益を確保した。
 ただ、海外融資の伸びは鈍りつつある。3メガ銀のプロジェクト融資のシェアは14年l~3月にわずかに低下。リーマン危機から5年たち、危機の傷が浅かった邦銀の優位性は薄れつつある。
一方、米銀の収益の回復ぶりが目立つ。JPモルガン・チエースは12年、ウェルズ・ファトゴは13年に最終利益が200億㌦(約2兆円)を超えた。リーマン・ショック前、米銀は自己売買部門でリスクをとって巨額の利益を出した。だが、新自己資本規制(バーゼル3=きょうのことば)導入など世界的な金融規制が強化され、当時のような業務はできなくなった。では、どうやって収益をあげているのか。一つは商業銀行業務。米住宅相場が11年後半~12年初めにかけて底打ちし、住宅ローンの貸し出しを積極化している。
 米シティグループは4月、韓国の店舗の3割を統廃合し、人員も削減するリストラ策を決めた。富裕層の多いソウルや釜山など大都市部に集中して収益力を高めるねらいだ。邦銀が得意とする商業銀行でもシティや英HSBCなどアジアで歴史が長い欧米銀に一日の長がある。
 三菱UFJは昨年、タイの大手銀を買収し、三井住友侶インドネシアの中堅銀行に出資した。日系企業の海外進出に伴う貸も出しや決済などが中心の事業から、国際的に競争力のある存在への転換はまだ道半ばだ。(木原雄士、ニューヨーク=佐藤大和)


④GDP実質5.9%増/1~3月年率増税前消費伸び 
 内閣府が15日発表した1~3月期の国内総生産(GDP)速線値は物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比1・5%増、年率換算で5・9%増となった。4月1日の消費増税を前にした駆け込み需要で個人消費が大きく伸びた。物価動向を総合的に示すデフレ一夕ーが前年同期比0・01%プラスとなり、2009年7~9月期以来4年半ぶりにマイナス圏を脱した。(関連記事3面に)
設備投資、4期連続プラス
 甘利明経済財政・再生相は15日の記者会見で「デフレ脱却に向け着実に前進している」との認識を示した。足元の動向も踏まえ「前回(の増税時)に比べ駆廿込み需要は想定を超えるが、反動減はいまのところ想定内だ」とも分析した。
 1~3月期の実質GDPは、東日本大震災による落ち込みの反動で大きく伸びた11年7~~9月期以来となる高い伸びとなった。プラス成長は6四半期連続。同3・0%増だった1997年1~3月期の前回の消費増税前も上回った。生活実感に近い名目GDPは前斯比1・2%増、年率で5・1%増えた。
 実質GDPは金額ベ一ス(2005年基準、年率換算)で535・5兆円となった。GDPの水準はリーマン・ショック後に急激に落ち込んだが、1~3月期は2008年1~3月期に付けたピーク(529・5兆円)を上回った。経済規模はようやく2000年代の水準を超えたといえる。名目の水準は依然としてリーマン・ショック前の水準に届いていない。 
 成長をけん引したのは個人消費だ。伸び率は実質で前期比2・1%増と6四半期連続で伸びた。自動車や家電などが全体を押し上げた。2月に大雪があった影響でサービス支出に一部もたつきもあったが、耐久財の駆け込み需要は増税前に一気に高まった。住宅投資は前期比3・1%増と8四半期連続プラスだった。
 収入の動きを示す雇用者報酬は名目ベースの前年同期比で0・4%増えた。ただ、物価の影響を除いた実質では0・7%減っており、増税後にマイナス幅がさらに拡大する公算が大きい。
 設備投資は前期比4・9%増と4四半期連続で伸びた。昨年10~12月期(前斯比1・4%増)に比べ大幅に加速しており、企業経営者の間で前向きな投資マインドが本格的に広がりつつある。
 公共投資は前期比2・4%減と5四半期ぶりにマイナスになった。東日本大層災の復興事業などで水準は高いが、今までの補正予算が出尽くした影響も出ている。
一方で海外需要はさえなかった。輸出から輸入を引いた外需の成長率への寄与度はマイナス0・3摺と、3四半期連続で落ち込んだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

リーマン・ショック、東日本大震災などの影響を克服して、日本経済は復調しつつある。多くの痛い経験積んできた企業の行動は慎重だ。だけど確実であり、堅実である。日本の経済は他力的ではなく、自力的である。他人資本ではなく、自己資本を基調にしている。イノベーション力もあり、企業が設備投資や開発にかける投資が増えていることは、自力を高める上でも重要だ。

さらに、一部上場企業の業績の回復と、なによも金融機関の体質改善と安定的利益の確保は、経済の根幹をなす安定条件だ。


中国の経済状況とは対象的な動きに見えるこれらの記事を読むと、日本の企業の堅実な行動に将来を託す気持ちが湧いてくる

まだ当分の間は、世界的にも経済の動きは活発ではないえれど、地道であることがなによりものことだ。

日本は自力がある。着実に経済を回復基調に乗せていく努力が必要だろう。中国のようにふるうのではなく、世界に貢献できる経済活動を持続させてほしい。


これらの経済記事は、日本の経済活動が、堅実であること、また困難な時期に底力を蓄えてきたことの証だと思う。

製造業が一早く回復しえて金融が安定して、バブルの経験を踏まえて、堅実に行動すれば、消費傾向も高まるだろう。生産と消費の間にズレがある。日本経済が今年から回復基調に変化することの意味は大きい。