「改革には雇用も犠牲」、タブー破った中国政府  編集委員 吉田忠則

<日経新聞記事>

雇用問題に関するどきっとする表現

 習近平国家主席や李克強首相など党と政府の幹部が一堂に会し、13日まで4日間の日程で中央経済工作会議を開いた。その発表文の中に雇用問題に関して一瞬どきっとする表現があった。

 まず会議は2014年の経済成長について「後遺症をもたらさないようなスピード(にする)」と強調した。ここで「すでにリーマン・ショック時の巨額の景気対策の後遺症だらけではないか」と突っ込みを入れたくなるが、中国もそのことは分かっている。

 だから会議は「過剰生産能力を解消し、革新が成長の動力になるようにする」「過剰生産能力を揺るぎなく解消するため、中央の政策を実行する」などとくり返す。過剰設備こそ、リーマン・ショックを乗り切った後に中国が抱え込んだ最大の構造問題。その解消が「産業構造の調整」のカギを握るというメッセージだ。

 問題はこの先。「雇用対策を最優先(の課題)に位置付け、大学卒業生の就職…」。新卒の就職難はここ数年続いてきたことで、とくに目新しくはない。だがその後に「…と過剰生産能力の解消でリストラされた人の再就職に重点的に取り組む」と続く。

 インフレと雇用問題は中国政府が景気対策を打つ際に最も重視する判断材料だ。にもかかわらず、今回、リストラの可能性に触れたことについて、みずほ銀行(中国)の細川美穂子主任研究員は「構造改革を本気で進めたいという意思表示」と指摘する。

 今年3月に本格始動した習近平政権の経済政策について、国内外の見方は揺れ続けた。まず李克強首相が「規制緩和や市場化を通した経済のレベルアップ」を掲げると、メディアは「リコノミクス」としてもてはやした。


中国では現在でも大学卒の未就職者が40%程度に登るという。670万人の新卒者に対して300万人が就職先がないという。さらにリストラ問題まで発生すると、社会的な不安が出てくる。

経済成長の数字を評価にしないと言い出して、次にリストラに触れるようになったのは、製造業や国営企業の縮小の問題を意味する。民間企業はすでに倒産したり、夜逃げしたりしているので、ここで「リストラ」という言葉を使ったのは国営企業へ向けての話だと思える。


人民日報が報じた河北省の記事は「GDPを犠牲にしてでも、やるべきだ」と見出しにとった。河北省の主要な産業である鉄鋼業で生産設備を破棄し、成長が鈍れば雇用にも影響する。だから中央政府は「リストラされた人の再就職に重点的に取り組む」と強調する。


鉄鋼業の膨大な在庫の処理には生産設備の破棄が必要になる。いよいよ中国の経済縮小がハッキリしてきたように思える。日本でも1990年代以後の就業形態が定期採用からパート採用や不定期採用に変化して行った。失業率が5%を超えて社会問題にもなった。中国は政府の失業率の数字は日本並みに低いけれど、実態は不明であり、実際にはかなり高いと思える。10%以上の失業率が発生すると問題が大きい。

農村から都市に流れた農民工が2億人ほどいて、それらが農村に帰れない状況が出ると都市に滞留してしまう。戦前の日本では恐慌のたびに農村が労働者を吸収していたが、中国は農業を破壊してしまっているので、農民工を吸収できなくなる。

都市に流民としての農民工と失業した下層労働者に学卒の未就職者が溢れたら、社会不安はさらに強る。共産党が支配権を握れていたのは、高度成長による所得の増加を作り出していたからだ。しかしここで歯車の回転が逆回りし始めたら、その状況は不明だ。


不採算の公共事業、外国資本の工場の生産基地の縮小、賃金を経済原理ではなくて政治的に引き上げさせてきたことで、外国資本にとっては旨みがなくなった。また経済的リスクが見え出したので資本を引き上げる動きが一層強まるだろう。貿易も生産の縮小により、減少していく。これらの予測は国民の所得が増加するという傾向を否定するものだ。GDPを押上てきた公共投資と土地バブル、建設バブルがここで顕著に名あれば、次には金融バブル、不良債権問題が表面化するだろう。

どうみても、経済を好転させる政策が見当たらないのだ。

毛沢東時代に3000万人も死にやった大躍進政策の二の舞がはじまるかもしれない。

大気汚染と水質汚染と土壌汚染、三大汚染をどのように解決するのか、さらに水利大系を無視したダム建設による自然破壊問題など、また農業生産における薬物の問題で、危険な生産物問題、つまり居住する条件における危険な問題を解決するのに対策がないのだ。

先日、統計数字が地方政府は正しく出していないと政府が言い出して、偽統計の横行を認めだひた。

実際のところ真実の統計をされも掴んでいないという事態になりかねない。

前にも書いたが、8%の成長率は、失業を出さないために必要な経済成長といい、西欧の数字に換算すれば、2~3%の成長率だといい、2009年の株式の高騰から下落に続き22011年には、土地のバブルがはじけ出していたと言う。もはや打つ手がない。

GDPの成長要素の消費部分は低調であり、貿易依存が高く、投資が過半の構成であれば、GDPはもはや伸びる可能性はなく、むしろ減少して、日本よりも下がる可能性もある。さらに元の切上げ要求が出てくれば、さらに追い討ちをかけるだろう。

中国は農業が破壊されていること、これが一番の問題だと思う。日本は高度成長期に都市化が進み、農村は窮地に追い込まれたが、自民党が票田として農家を手厚くお手盛りして農業を守ってきた。

この農業政策が今となっては大きな相違として現れてきた。日本の政治を悪くしたものに、農協、医師会、日教組と私は言うのだけれど、見方を変えれば、それは意味があったことになる。多分、日本の農業政策は資本主義的ではなくて、むしろ社会主義的であったと言える。ガラパゴス的といっても言い。

中国の都市化は農村を犠牲にした帝国主義的、植民地主義的手法だ。

毛沢東時代に人民公社制で農業の恐慌を引き起こした。その事を学んでいないで、都市化を進めた。

正直、中国の未来はまったく暗い、あのスモッグの空のようだ。

問題は、日本でもそうだけど中産階級が解体されて、低所得層に落ちていく危険性だ。日本もジニ係数が上がって、格差社会が進行しているというけれど、なんとかもとに戻す力は出てくるのではないかと思うけれど、中国は困難かもしれない。


これから先、20年、日本の失われた20年と言われる以上に、大きな倍返しのショックが起こるのではないかと思う。来年は中国から目が離せない。

間違いなく、成長は停滞し始めたらどうなるのか、それが知りたいところだ。

国民は、社会保険制度や健康保険制度がいい加減だから将来への不安から、お金を使わなくなる。また政府に対する不信と政治の混乱から逃れるために、ますますタンス貯金をふくらませるかもしれない。お金を使わなければ、経済が回らなくなる。それに銀行に対するし信用問題が表面化して、預金の引上げでも起きたらこれまた大変だ。

日本で経験したことにのすべてが起こる可能性がある。

唯一の手段は労働者を世界に輸出して、人口の削減を図って、失業者を減らすことだ。大量の移民が来ないように今から手を打たないといけないかな。嘘みたいな話になる。

日本もハワイやブラジルや満州に移民させたのは、不況の時代であっただろう。これだけは避けないといけないかも。