一人一人が自分の生を活かせる環境を:ドイツの保育施設を見学して2 | 心と体と学びをはぐくむ園庭を

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幼稚園保育園の園庭を、子どもが自然の中で遊び学べる場所にしませんか?


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こんにちは。園庭研究所の石田です。

前記事「個性を伸ばす教育、そしてインクルーシブ教育」の続きです。→前記事

 

園庭のことで日本の保育現場に伺うと、発達障がいを持つ子どものことを心配される声に出会います。(ただ、発達障がいは発達に凸凹があり、多数派とは異なる感じ方や脳の働きを持つだけなので、以下、「発達に特性がある」と表現させていただきます。)
これは、子どもが色々興味を持てる楽しい園庭にしてしまうと、皆で同じ活動をする際に興味が他に向いてしまったり、水場など危険も伴う場所に一人で行ってしまうかもしれない、といった心配です。


特に、一つ目の「皆でする活動がしにくくなる」といった課題については、まずは「そもそも、皆で同じ活動をする必要があるのか。その子の発達にとって何が大切なのか」を問い直すところから始める必要があるのかもしれません。
皆に合わせて行動する力が優先されることなのか?

それとも、その子がやりたいと思うことに取り組めることが優先されることなのか?

子どもたち一人一人が、自分の人生を豊かに過ごしていけるためには、どのような保育や保育環境が必要なのか?

ある枠組みに子どもを入れようとした(合わせようとした)時に、その枠組みでは合わない子が出て来てしまいます。例えば、皆で並ばなければならないような枠組みがあるから、それが苦手な子どもが問題になってしまうのではないでしょうか?
発達に特性のある子どもも同じだと私は思います。取り組みにくいこともあれば、得意なこともある。けれど、「これをしなければならない」という枠組みがあるから、できない状態が問題として際立ってしまう。

(枠組みと教育については、こちらもご参考にしていただければと思います。→デモクラティック教育と園庭


この宇宙に存在する自然物は多様で、同じものはありません。

進化の系統樹からも分かるように、生物は多様な存在を生み出すようにできています。多様な存在を生み出せるからこそ、環境が変化しても、そこに適した生物が生き残ることができるんですね。
人もそうです。身体的特性も興味や価値観も本当に多様です。

そして、発達の特性も、この多様性の一つではないかと私は思います。
世界がこういう前提にあるのだから、教育でも、誰かが枠組みを作ってそこに子どもを合わせようとするのではなく、多様な存在である子どもがいて、それぞれの子に合わせた保育・教育がされていくような、それぞれの子が自分の生を活かしていけるような、そんな保育・教育になればと願います。


また、社会として見た時にも、幼少期から、障がいのある子どもとそうでない子どもが一緒に暮らす事はとても大切なことではないかと思います。
障がいのある人が、障がいのない人と同じように、自分を活かして暮らしていけるためには、社会全体の障がい者への理解が欠かせません。
けれど、頭で理解するのと、実際に障がいを持つ人に接しながら、障がいを持つ人と自分が同じである部分を感じたり、障がいによって困る点を直接理解していくことのでは、その理解度は天と地ほど変わってくるでしょう。
現実の体験に基づく理解があってこそ、障がいを持つ人たちにとって本当に暮らしやすい社会になっていくのではないでしょうか?
我が子のクラスでも障がいを持つ子がいますが、高学年になるにつれ、特別学級で過ごす時間が多くなってきました。その流れと合わせて、娘も私自身もその子への関心も下がってきていることを感じています。


障がいを持つ人を別の場所に連れていくのではなく、皆が同じ場所で共に過ごせるように。
その中で学び合い、共に過ごせる工夫をしていけるように。
そして、誰もがその人らしく生きていけるように。


それを支えられるような園庭を、一緒に考えていきませんか?

 

 

写真は、ドイツ ベルリン州のKita Löwenzahn e. V.(レーヴェンツァーン保育所・幼稚園)。誰もがその人らしく、個性を伸ばしていけるようにと考えられた保育環境。

ドイツでは、障がいのある子どもも移民など文化的なマイノリティである子どもも、一緒に生活するインクルーシブ教育が推進されています。

インクルーシブ教育に取り組む園の先生からは、「子ども一人一人が好きな遊びを見つけられる多様な環境」の重要性が述べられていました。(日本生態系協会さん主催「ドイツの自然豊かな園づくりツアー」にて)

 

園庭研究所 代表 石田佳織

お問い合わせ: 電話:080-2381-8611  /  メールを送る

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