私が癌になる前となった後で圧倒的に変わった事、それは家族と過ごす時間が増えた事。


 妻に以前言われてなるほどなぁ、と思った事。


 それは、普段殆ど家に居なかった私が病気を境に家にいる時間が増えた。結果、その事がそれなりのストレスになる。


 どうも、それは私の妻に限った話ではなくて、そう感じている世の中の奥様は沢山いるようです。


 テレビ朝日の羽鳥慎一モーニングショーで以前取り上げられていましたが、定年して旦那が家にいるようになると奥さんのストレスの原因となるようで、定年したら生き甲斐や趣味を持って外に出かけましょう、みたいな事を言ってましたね。





 今まで会社や友達やご近所さんとのコミュニケーションではそれなりに上手くやってきたつもりですが、家族とのコミュニケーションは同じ様にならない事が多い様に感じます。




 それは何でなのか?

 考えてみました。



 最初に思い浮かんだ事が6年前に亡くなった父親の事。



 30年位前の話しになりますが、父親と父親のお得意さんの家に行った時の事。

 当時まだ私は大学生だったので詳しい事は知らないのですが訪問先は大切な取り引き先の方のようでした。




 居間に通されて挨拶をすると、

 奥さんが、コーヒーを出してくれました。


 コーヒー?

 父さんはコーヒー苦手じゃなかったかな?

 と、私は思ったのですが。


 そんな父は、

 コーヒーを一口飲んで、



「美味しいですね、このコーヒー」



 と言いました。


 

 それを見た時に、当時大学生だった私は大人の対応とはこう言う事なのか、というのを学んだ様な気がしました。


 コーヒー苦手なんです、とは言えず、美味しいと言った父の心理。

 仕事での利害関係とか、他人に対しての気遣いとか、色んな事が考えられての発言だったはずだと考えられます。





 では、これが仕事のお得意様ではなくて、自分の家族だったら、父親は何て言ったのでしょうか?


 6年前に他界したので、推測でしかありませんが、


 父が最初に言った言葉、


 コーヒー美味しいですね、


 これは、


 俺コーヒー苦手なんだけど、


 みたいな感じになるのかもしれない。


 更に奥さんだと、


 飲めないの分かってて、なんでコーヒーなんか出して来たんだ!


 みたいな流れから、ケンカになるかもしれません。




 会社や他人とは違い、家族だとほぼ本音で会話するから険悪な雰囲気になったり、ケンカになったりする事もある可能性が高くなるかもしれないですが、そこが、家族のコミュニケーションの良い所であり、面倒な所かもしれません。




 家族以外でのコミュニケーションにおいては、良いですね、流石ですね、とかそれなりに言われたはずなのに、同じ様なことを家族に言うと、


 父さんは何言ってるの?

 ウケる!


 みたいな感じで娘とかに言われて、対応がまるで逆で、えっ?なんで?


 そう感じることが本当に多い様な気がします。



 なんで、家族は分かってくれないのか?

 と、思う事が良くある。



 でも、違和感の原因が本音と建前だとしたら?



 家族とのコミュニケーションの方が本音の部分かもしれない。だとしたら、家族の意見は自分にとっては貴重な情報として受け止めてみるのが良いかもしれません。