ごきげんいかがですかごきげんいかがですか
金曜日は森田思軒訳「探偵ユーベル」
※イギリス(ゼルシー)に亡命している人々は、フランスの探偵(間者)のユーベルを秘密裁判で裁いている。「法を守ろう」とする意見も出たが、「死刑」の意見が多い。戦いで体を傷つけたアヴィアスが、意見を言い始めた。
彼はピードモントにかくれり
12月2日に彼は境を越え ナポレオンのクーデターに抗して兵をあげたるバーの共和党に投ぜり 戦場にて銃弾の為にその膝をいためられり
彼の諸友は わずかにして彼を救い去りたるが 彼の足はふぐとなれり ビートモントより追われて彼は英国に来り またゼルシーに来れるなり
彼は遂に染工及び磨工を業とすることとなり かくてここに暮らせり
アヴィアスはせいぜいユーベルとよく相知れりと見えり 書類を朗読せる間も彼はしきりに「ああせんど(;卑しい奴) ああかつ(悪賢いやつ)・・奴・・おのれは余に語りてルイブランクを間者と言えり ビクトルユーゴーを間者と レドリューローリンを間者と」よよばわり続けり
今ガイが座するとひとしくアヴィアスは立ち上がりてその腰掛に立ち ついにまた、テーブルの上に立てり
アヴィアスは齢30歳 身材長く 赤ら顔広やかに まゆね凸出し 眼光きらつき 口広大にして音調に田舎なまりあり
いまこの巨人が眼をいからし 手は染料にて色つき 足はテーブルを踏み鳴らし その頭はほとんど天井ぎわに触れんとしつつ れいせい(;張り上げる声)を発してののしる様は これよりさらに粗猛なるものは またあらじと思われたれ
ではごきげんよう さようなら
※音訳状況 「笠岡市史」
8章 完成
6章 完成
残りは2章と3章と索引
2章 一次校正中