ロボットをモチーフにしたアニメや特撮は数限りなくある。
大雑把な流れを言うと、まず永井豪の『マジンガーＺ』から始まった系譜がある。

まるで仮面ライダーの善対悪の構図をそのままアニメにも当てはめてしまったような、主人公が巨大ロボットを操縦して侵略者と戦う東映アニメの築いたパターンは長い間勢力を振るった。
その前身はウルトラマンのように人間が変身し巨大化して戦う『デビルマン』というアニメがあり、それが成功したので『マジンガーＺ』もアニメ化してみたら大当たりだったという偶然から来るものだった。

アニメ化されることなく、玩具業界で独自の世界観を築いたロボット達もあった。
アオシマのプラモデル『アトランジャー』と変身サイボーグ（サイボーグエース）から発展した『ミクロマン』がその代表だろう。

その後、ウルトラマンの円谷プロの子会社日本サンライズが『ガンダム』を制作し、それがヒットしてから、巨大ロボットを使用した戦争を描くリアルロボットアニメが今も主流になっている。

ロボットものは特撮もアニメも含め、そのほとんどが、主人公がロボットに乗り込んで操縦し、敵と戦うというストーリーだ。
特撮では数が少ないが、その最初の作品は『ジャンボーグＡ』だったように思う。

だが、この作品はロボットと言うよりはほとんどウルトラマンのような動きをしており、コックピットの操縦方法は『機動武闘伝Ｇガンダム』のパクリ元となっている。
『マジンガーＺ』の設定をそのまま実写にしたような最初の作品は『レッドバロン』だったと思う。

『レッドバロン』は『マッハバロン』『ガンバロン』と続き、後に日本版『スパイダーマン』に登場するレオパルドンやスーパー戦隊シリーズに登場する巨大ロボットへと特撮技術は受け継がれて行く。

『レッドバロン』と同時期に、巨大ロボットではなく等身大ロボットを操縦して戦うという試みが為された作品が『電人ザボーガー』だった。

何しろロボットが等身大なので人間が乗り込むわけには行かず、最初はオートバイとして人間の足になり、ヘルメットに付いたマイクからの指示でロボットに変形するという設定だった。
つまり、ロボットは独立した意志で動き、大雑把な指示を人間が与えるだけだった。
等身大ロボットではどうしてもそういう形を取らざるを得ず、むしろ『キカイダー』や『ロボット刑事』のように完全に独立した個性を持つヒーローとなるパターンの方が多い。

独立した意志を持ちながら人間の指示を受けて戦う巨大ロボットというスタイルの作品は、アニメでも特撮でもなかなかお目に掛かれない。
近いもので言えば、『ゴジラ対メガロ』に登場するジェットジャガーというロボット（私のプロフィール参照）があるが、さすがに円谷英二を育てた東宝だけあって、ほとんどウルトラマンのような動きをしており、変わった特色としては『サンダーマスク』のように等身大になったり巨大化したりする点だけである。

もう一つは『アストロガンガー』がある。
主人公の少年が、アストロガンガーというロボットの胸に吸収されて一体化し、出たり入ったりしながらロボットと相談して戦うというスタイルだった。

『アストロガンガー』は『マジンガーＺ』に対抗して同時代に作られたアニメらしく、人間が乗り込んで操縦するというパターンに反発して考え出された苦肉の設定だった。
だがこれも、ロボットに乗り込んで操縦するパターンに近い。
基本的に人間の指示がなくても独立した意志で動くことができ、それでいて人間が遠くから指示を出すというパターンの作品は三つ挙げることができる。
『鉄人２８号』と『ジャイアントロボ』と『大鉄人１７』だ。
『鉄人２８号』は『鉄腕アトム』と同様、白黒テレビ時代に大ヒットし、後にカラーのリアルな絵でリメイクされたが、なぜかリメイク作品はどちらもヒットしなかった。

『鉄人２８号』のカラー作品はリアルな巨大ロボットとして描かれたが、旧作の白黒作品はメチャクチャだ。
最初は等身大に近い大きさで登場し、活躍しているうちにいつの間にか巨大なロボットとして描かれ、さらに見ていると場面によって体が大きかったり小さかったりと、体の大きさの設定が決まってないのだ。
でもその自由闊達さが逆にウケたのか長寿番組となった。
鉄人２８号は独立した意志で動くが、金田少年がアタッシュケース大のコントローラーで指示を与えることもできる。
これがより洗練された形が、特撮作品として作られた『ジャイアントロボ』だ。

大作少年が巨大ロボットと心を交流させて指示を与えるのは同じだが、コントローラーはアタッシュケースのような大きさから腕時計タイプの無線機に変わった。
『ジャイアントロボ』は非の打ち所のない良作だったが、後にアニメ化され、デフォルメされたデザインが不格好なためか、あまりヒットしなかった。
リメイクでデザインのクオリティが高くなった『鉄人２８号』とは逆パターンだ。
特撮ブームの終わり頃に時代錯誤な作品として登場したのが『大鉄人１７』だった。

タイトルに数字を入れるのは間違いなく『鉄人２８号』を意識しており、マイク付きのヘルメットを通じてロボットと意思疎通するのは『電人ザボーガー』と同じ。
ロボットと三郎少年の心の交流も描く、それまでの集大成的な作品だった。

それから時は過ぎ、特撮ブームも遥か過去となった平成の時代、２１世紀になってから『アストロガンガー』『鉄人２８号』『ジャイアントロボ』『大鉄人１７』をミックスしたような作品が現れた。

特撮ブーム最盛期のようなゴールデンタイムではなく月一の放送だったので、ほとんどメジャーな話題になることはなく終わってしまったが、雨宮慶太監督の『鉄甲機ミカヅキ』である。

タイトルや設定からも分かる通り、これは明らかに上記４作品のオマージュであることは間違いない。

デザイン的には、リメイクされたアニメ版『ジャイアントロボ』の影響を多分に受けていると思う。

今の時代、こういう過去の良作からヒントを得て、今の時代に合わせて少年を美少女に置き換え、ライトノベルから巨大ロボット作品が生まれてもいいのではないかと思う。

いい加減、ＲＰＧの影響を受けた魔法の世界から脱却した科学的な作品がブームになってもいいと思う。

ロボット作品の流れ