中田敦彦YouTube大学で紹介された「Think clearly」
この本では人生をよりよく生きるための「52の思考法」が紹介されています。
自分へのインプットを兼ねて毎日1項ずつ紹介していきたいと思います。
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#5 簡単に頼みごとに応じるのはやめよう
人の頼みを断れない「好かれたい病」の正体
あなたは「ちょっとした頼みごと」をされたときに、深く考えずについつい引き受けてしまうことはないだろうか?
どのくらいの頻度で断っているのだろうか?
あとになって頼みごとにOKしたことを腹立たしく思うのはどれくらいで、断ったことを後悔することはどれくらい?
何年か前、私は自分自身について分析してみた。すると講演や寄稿や短いインタビューの依頼など、ちょっとした頼みごとを引き受けすぎているとわかった。
頼みごとのほとんどは、最初に思っていたよりも実行するのに時間がかかったというのに、私が引き受けたことによって、関係者たちにもたらされた収穫は思っていたよりずっと少なかった。私は頼みごとに答えたのに、結果的に私の利益につながることもなかった。
人の頼みを断れない。この「好かれたい病」はいったいどこから来ているのだろう?
1950年代、生物学者たちによって、ある研究が行われた。それは「血縁関係にない同種の動物同士はどうして互いに協力し合うのか」、その理由を突き止めるための研究だった。
「囚人のジレンマ競技会」で勝利をおさめたのは?
血縁関係にない同種の動物同士は、どうして互いに協力をし合うのか。この疑問に答えをもたらしたのは「数字」だった。正確に言えば、数字の「ゲーム理論」だ。
「ゲーム理論」とは、利害関係を持つ相手がいる集団において、各自の意思決定や行動が互いに影響し合う状況を、数学的モデルを用いて分析する理論である。
利害関係のある相手のいる状況で、関係者全員にとって最適な選択をするにはどうすればよいか等の答えが導き出せるため、経済学、政治学、経営学、社会など、数学以外の分野でも幅広く応用されている。
このゲーム理論の代表的なモデルに「囚人のジレンマ」というのがある。
共同で犯罪を行った二人の容疑者を、意思疎通ができないよう別々の部屋に入れ、個別に次のような司法取引を持ちかける。
(a)ひとりが自白し、もうひとりが自白しない場合、自白したほうは釈放、自白しないほうは懲役10年。
(b)二人とも自白しなければ懲役2年。
(c)二人とも自白した場合は懲役5年。
ゲームは無期限で容疑者はゲームの回数を知らされないまま、順番にどれかを選択し続ける。
二人に共通する最良の選択は、互いに強調して黙秘する。(b)だが、どちらかひとりが裏切って自白し、自分の利益を追求している限り、最良の選択にはいたらないというジレンマがともなうゲームである。
遺伝子が生き残ったのは「しっぺ返しの戦略」のおかげ
動物の世界で起きていることは、これとまったく同じ行動だ。「互恵的利他主義」と呼ばれる行動である。
チンパンジーは次にその仲間がお返しに獲物を分け与えてくれるのを期待して、自分の獲物を分け与えているのだ。餌をとりに出かけても、なんの収穫もなく住処に帰らなければならないときの保険である。
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この行動パターンは進化の過程で自然淘汰された結果、残ったものだ。「しっぺ返し戦略」を行わなかった仲間は遺伝子を残すことができなかったのだ。
人類も、知能が高度に発達した動物の一種である。この互恵的利他主義の行動パターンはサルたち同様、私たちの中にもやはり受け継がれている。
世界経済が機能するのも「しっぺ返し戦略」のおかげといえる。
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けれども「互恵的利他主義」には、ふたつの危険が潜んでいる。
ひとつ目は、誰かから「好意」を受けると、あなたはその人にお返しをする義務があるように感じてしまい、その人の頼みを断れなくなってしまうことだ。つまり、結果的に、あなたはその人の意のままに動かざるとえなくなってしまう。
そしてふたつ目の危険は、さらに重大だ。「しっぺ返し戦略」は信頼にもとづく協調から始まる。相手の利益になる行動をとれば、相手も同じような利益を返してくれるはずだという信頼をもとに、私たちは自ら進んで相手の頼みを引き受ける。私たちが後になって腹立たしく思うのは、「つい頼みに応じてしまった」まさに最初のこの瞬間である。
これからはどんな依頼も「5秒」で決断する
頼みごとをつい引き受けてしまうのは、生き物の本能的な反応なのだ。
そう気づいた私は、対処措置として、ウォーレン・バフェットのビジネス・パートナーであるチャリー・マンガーが実践しているという「5秒決断ルール」をまねることにしている。
「すばらしい何かが見つかる機会なんて、そうそうあるものじゃない。だから、頼みごとの90%は断ったとしても、チャンスを逃したことになんてまずならない」からだ。
マンガーの言葉だ。
だから頼みごとをされたときには、その無理な要求を検討する時間は、きっかり5秒間。5秒間で、決断することにしたのだ。
するとほとんどの場合、答えは「ノー」。いくら頼みごとの数が多すぎるとはいえ、そのほとんどを断っていれば誰からも好かれるというわけにはいかないが、誰からも好かれたいがために頼みごとを全部引き受けるよりはずっといい。
**本文より抜粋して紹介**
【Think clearly】#2 なんでも柔軟に修正しよう
【Think clearly】#3 大事な決断をするときは、十分な選択肢を検討しよう
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