第11回 極大射程に挑む(上巻)【東京マルイ VSR-10 Gスペック】 | イナギFIVE-0 エアガンライフ

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東京マルイVSR-10 Gスペック
・エアコッキング


 昔から、サバゲ仲間の中にはコッキングライフルでスナイパーにこだわるヤツが必ずいた。当時はそのココロがあまりよくわからなかった。サバゲは走ったり、果敢に前に出たり、セミでバシバシ、フルでバリバリ撃ってこそ楽しい! そう感じていた。

 それがどうしたことか、2~3年前にマルイのVSRを買ってしまった。新品で1万8000円くらいと非常に安いこともあった。ゲームで使うというよりも遠距離を撃って遊ぶ、ということを目的に考えていた。

 スティーブン・ハンターの「極大射程」という有名な小説があって、昔から極大射程という言葉の響きには憧れがあった。ただし、原題は「ポイントオブインパクト」で、着弾点、というような意味だと思う。この「極大射程」という言葉を考えた訳者? 編集者? は大したセンスだ。そもそも射程は、「大」ではなく「長」なのだから。あえて「大」だとしたらなおすごい。「大」とすることで長さだけでなく空間的な遠距離感、広がりを感じさせることになっている。

 小説の極大射程は、308のライフルで1300mくらいを撃つというもの。これは無理やろ! 届くだろうが、ものすごい山なりの弾道になるし、エネルギーのロスも大きくて風や気温、湿度などの条件を受けやすく、着弾点は不安定になると思う。映画やテレビシリーズでは50口径やラプアなどを使う設定に変えられていたが、それでも気が遠くなるような距離だ。

 実銃の極大射程、エアガンでいうとどのくらいになるだろうか? 私はこれを50mと設定した。なんだ50m!? と思われるかもしれない。確かに、ネット上では50mヘッドショットとか、飛距離70mといった話もよく見かける。

 しかし、物理の法則上、1Jのエアガンで50mは射程外なのだ。ただし、これは私が是としている水平弾道での話。水平弾道とは、レーザービームのような真っすぐな弾道が地面と平行に伸びていくことをいう。これは美しいし、本当に気持ちいい。私は水平弾道にとことんこだわりたい。で、この水平弾道で考えると、ホップを効かせても1Jでは40m前後が限界なのだという。これは有名なシキノートなどで説明されている。※弾重が0.28や0.3などと増していくともう少し伸びるのかもしれないが、ここでは一般的な0.25で話をしたい。私のVSRも0.25使用を前提としている。

 1Jの0.25弾で50mを狙う場合、山なり弾道にならざるを得ない。VSRといえども例外ではない。少し上を狙って撃って、そこから落ちてきて当たる。その時、エネルギーはほとんど使い果たしており、ポイントオブインパクトは非常に不安定になる。それこそ、ちょっとした風、気温や湿度、BB弾のクオリティ、ホップの微妙な回転の違い、構えた時の銃の傾き、もう本当に様々な要素がダイレクトに影響してくる。

 これが70mとかいったら、かなり上を狙った山なり(あるいは強ホップの山なり)でかろうじて届いているだけだろう。缶を狙った動画があったが、当たる確率は10%、よくても20%以下、それも狙って当てているのではなく、たまたま当たっているというのが本当のところだろう。

 私はそんなではなく、水平弾道を基本として、コントロールして50mを気持ちよく当てたいと考えているのだ。それを考えると、極大射程は50mなのである。

 とはいえ、現実的にはちょっと無理だなぁ。やはり1Jの限界を感じる。コントロールが効かないもの。私は、35mでホップセットし、30mでゼロインする。

 

(VSR-10 Gスペック、30m3発のグルーピング。約7.5cmといったところ。0.25を使用、10発ほど試射した後、3発を慎重に撃ち込んだ。スコープは8倍、椅子に腰かけた座射。バイポットは用いない)

 

 そして距離を伸ばしていくが、37mくらいで水平弾道の限界が来る。そこから少しずつ仰角をとり、40mはまあなんとなくイケる。が、45mになると上から落ちてくる弾がエネルギーを失って落下状態にあるのだろう、かなり不安定になってくる。50mになるともう運頼み。とてもコントロールして当てるというわけにはいかない。特に野外では風の影響が大きい。エネルギーを失ってフラフラになっている状態なので、吹いているの? というようなわずかな風でも影響を受けてしまうようだ。そういう意味でも極大射程なのである。(つづく)