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あらすじ
刊行10年目にして100万部を突破した、不朽のロング・ミリオンセラー!二つの世界的大企業・京セラとKDDIを創業し、JALを再生に導いた「経営のカリスマ」が、その成功の礎となった「人生哲学」をあますところなく語りつくした一冊。夢をどう描き、どう実現していくか? 人間としてもっとも大切なこととは何か?
サッカー日本代表の長友佑都選手、野球日本代表監督の小久保祐紀氏などトップアスリートも座右の書としてその名を挙げる、「究極の人生論」。

 

ひと言
こういう自己啓発本はほとんど読まないのですが、TVでこの本を座右の書、愛読書とされている方の話があり、Amazonを調べてみると451件ものカスタマーレビューで ☆5つ 274件 平均 4.3(2017年10月9日現在) 。これは読んでみないとと思い借りました。
強く思うこと。今日よりは明日、明日よりは明後日と、少しずつでいいから、かならず改良や改善をつけ加えてやってみること。視点を変えて、あるいは視点の次元を一つ上げて問題を見つめ直してみること。これらのことを忘れることなく日々を過ごしていきたいと気持ちを新たにしました。

 

 

人生をよりよく生き、幸福という果実を得るには、どうすればよいか。そのことを私は一つの方程式で表現しています。それは、次のようなものです。
人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力
つまり、人生や仕事の成果は、これら三つの要素の。″掛け算″によって得られるものであり、けっして″足し算″ではないのです。まず、能力とは才能や知能といいかえてもよいのですが、多分に先天的な資質を意味します。健康、運動神経などもこれにあたるでしょう。また熱意とは、事をなそうとする情熱や努力する心のことで、これは自分の意思でコントロールできる後天的な要素。どちらも0点から100点まで点数がつけられます。 掛け算ですから、能力があっても熱意に乏しければ、いい結果は出ません。逆に能力がなくても、そのことを自覚して、人生や仕事に燃えるような情熱であたれば、先天的な能力に恵まれた人よりはるかにいい結果を得られます。そして最初の「考え方」。三つの要素のなかではもっとも大事なもので、この考え方次第で人生は決まってしまうといっても過言ではありません。考え方という言葉は漠然としていますが、いわば心のあり方や生きる姿勢、これまで記してきた哲学、理念や思想なども含みます。この考え方が大事なのは、これにはマイナスポイントがあるからです。
(プロローグ)

 

 

松下さんは有名なダム式経営の話をされた。ダムを持たない川というのは大雨が降れば大水が出て洪水を起こす一方、日照りが続けば枯れて水不足を生じてしまう。だからダムをつくって水をため、天候や環境に左右されることなく水量をつねに一定にコントロールする。それと同じように、経営も景気のよいときこそ景気の悪いときに備えて蓄えをしておく、そういう余裕のある経営をすべきだという話をされたのです。 それを聞いて、何百人という中小の経営者が詰めかけた会場に不満の声がさざ波のように広がっていくのが、後方の席にいた私にはよくわかりました。 「何をいっているのか。その余裕がないからこそ、みんな毎日汗水たらして悪戦苦闘しているのではないか。余裕があったら、だれもこんな苦労はしない。われわれが聞きたいのは、どうしたらそのダムがつくれるのかということであって、ダムの大切さについていまさらあらためて念を押されても、どうにもならない」 そんなつぷやきやささやきが、あちこちで交わされているのです。やがて講演が終わって質疑応答の時間になったとき、一人の男性が立ち、こう不満をぶつけました。 「ダム式経営ができれば、たしかに理想です。しかし現実にはそれができない。どうしたらそれができるのか、その方法を教えてくれないことには話にならないじゃないですか」 これに対し、松下さんはその温和な顔に苦笑を浮かべて、しばらくだまっておられました。それからポツリと「そんな方法は私も知りませんのや。知りませんけども、ダムをつくろうと思わんとあきまへんなあ」とつぶやかれたのです。今度は会場に失笑が広がりました。答えになったとも思えない松下さんの言葉に、ほとんどの人は失望したようでした。 しかし私は失笑もしなければ失望もしませんでした。それどころか、体に電流が走るような大きな衝撃を受けて、なかば茫然と顔色を失っていました。松下さんのその言葉は、私にとても重要な真理をつきつけていると思えたからです。
思わんとあきまへんなあ――この松下さんのつぶやきは私に、「まず思うこと」の大切さを伝えていたのです。ダムをつくる方法は人それぞれだから、こうしろと一律に教えられるものではない。しかし、まずダムをつくりたいと思わなくてはならない。その思いがすべての始まりなのだ。松下さんはそういいたかったにちがいありません。 つまり、心が呼ばなければ、やり方も見えてこないし、成功も近づいてこない。だからまず強くしっかりと願望することが重要である。そうすればその思いが起点となって、最後にはかならず成就する。……。
企業経営でも、新規の事業展開や新製品開発などでは、頭で考えればたいてい、これは無理だろう、うまくいかないだろうと判断されることのほうが多いものです。しかしその「常識的な」判断にばかり従っていたら、できるものもできなくなってしまう。本気で何か新しいことをなそうとするなら、まずは強烈な思い、願望をもつことが不可欠なのです。 不可能を可能に変えるには、まず「狂」がつくほど強く思い、実現を信じて前向きに努力を重ねていくこと。それが人生においても、また経営においても目標を達成させる唯一の方法なのです。
(第1章 思いを実現させる)

 

 

安易に近道を選ばず、一歩一歩、一日一日を懸命、真剣、地道に積み重ねていく。夢を現実に変え、思いを成就させるのは、そういう非凡なる凡人なのです。 ただし、継続が大切だといっても、それが「同じことをくり返す」ことであってはなりません。継続と反復は違います。昨日と同じことを漫然とくり返すのではなく、今日よりは明日、明日よりは明後日と、少しずつでいいから、かならず改良や改善をつけ加えていくこと。そうした「創意工夫する心」が成功へ近づくスピードを加速させるのです。
(第1章 思いを実現させる)

 

 

人生では、「知識より体得を重視する」ということも大切な原理原則です。これは、いいかえれば「知っている」ことと「できる」ことはかならずしもイコールではない。知っているだけで、できるつもりになってはいけないという戒めでもあります。……。
情報社会となり知識偏重の時代となって、「知っていればできる」と思う人もふえてきたようですが、それは大きな間違いです。「できる」と「知っている」の間には、深くて大きな溝がある。それを埋めてくれるのが、現場での経験なのです。
(第2章 原理原則から考える)

 

 

「ここに信号のない平面交差の十字路があります。信号がないために四方から車が流れ込んで、進むも退くもままならない大混乱が起きています。このままでは、この混乱を解決することができません。しかし、それは平面交差という二次元の世界の中で解を見つけようとしているからです。ここに『高さ』というファクターを加える。すなわち三次元の視点を持ち込むと、どうなるでしょうか」 「つまり、この十字路は平面交差でなく立体交差しているとすれば――そう、信号がなくても、車はスムーズに流れることになります。私の発想もそういうことでした。いっけん複雑に見える現象も、単純な構造の投影にすぎないことが多い。そこで視点を変えて、あるいは視点の次元を一つ上げて問題を見つめ直したとき、その答えが実に明快に導き出されてきたわけです」
広中先生がおっしやっているように、物事を単純化して、本質を直截(ちょくせつ)にとらえる「次元の高い目」をもつべきです。それは、私心や利己、利害や執着を離れた、公明正大で利他的な心によってもたらされるものなのです。
(第2章 原理原則から考える)

 

 

遺伝子というのは、人間でも動物でも植物でも、あるいはカビや大腸菌といった原始的な生物であっても、四つの文字からなるすべて同じ「暗号」を使って、その情報が書き込まれています。人間のような高等生物が、そのようにわずか四文字による情報によって成り立っていることには、ほんとうに驚かされます。 人間の細胞一個の中には、三十億もの遺伝子情報が書き込まれており、この情報量を本に換算すると、千ページの本が千冊分という膨大なものになります。これほどたくさんの情報をもった遺伝子が、人間を構成する六十億の細胞一つひとつに書き込まれている。 さらに驚くべきは、その遺伝子情報が書き込まれているDNAの微細なことです。地球上に住んでいる六十億人分のDNAすべてを集めて合わせてみても、たった米粒一個の重さにしかならないというのです。 これほど微細なスペースの中に、恐ろしく膨大な情報が何の狂いもなく理路整然と書き込まれている。しかも、地球上に存在している生物すべてが、同じ四つの文字からなる遺伝子暗号によって生かされている。 このことを考えると、まったく奇跡というべきで、何らかの偶然で自然にでき上がったものとは考えにくい。人間の想像をはるかに超えた、宇宙全体をつかさどっている「何か偉大なもの」の存在を想定しないと説明がつかない――村上先生は、そういう存在を「サムシング・グレート」と名づけたのです。
(第5章 宇宙の流れと調和する)