今回は台湾から入ってきた衝撃的なニュースをお届けします。
台湾の台北~高雄間などを中心に高速バスを運行している阿羅哈客運ですが、2021年12月13日24時をもって高速バスの運行を終了することが明らかになりました。
阿羅哈客運は台湾でのCOVID-19(新型コロナウイルス)流行に伴う高速バスの需要減少によって経営状態が悪化しており、11月には不渡りを起こし株主が破産を申請したことがメディアで報道され、これを阿羅哈客運側は否定していましたが、この後、オンライン予約でのクレジットカード決済ができなくなるなど、経営状態が悪化していることを利用者目線でも感じられる点がありました。
高速バスの運行本数も大幅に減らされており、台北~高雄間の運行本数は通常ダイヤの84%までに減少、これに伴い古い車両の処分なども進めていたようです。
2021年12月1日現在、阿羅哈客運では台北~高雄間の3999路と台北~嘉義間の3888路の2つの路線を運行しています。
内、3999路については台中朝馬経由便も運行されており、台北~台中間、台中~高雄間の利用も可能となっています。
各路線とも並行して他社の高速バス路線が運行されていることから、今回の運行終了に伴いバスの運行が一切なくなる区間はないようです。
阿羅哈客運といえばやはり總統座の車両です。1席1席が独立し、横幅もたっぷりととられた高級感のある座席は同社の一番の売りであり、他社高速バスの追随を許さない快適性と高級感を誇ります。
その分、他社の高速バスよりもお高い料金となっていますが利用者からの支持は高く、24時間運行も行われていましたので夜行便代わりに利用していたという方も少なくないのではと思います。
台中経由便などでは長時間乗車とならないこともあり、皇后座と呼ばれる3列シートの車両が中心に運用されていました。
こちらの車両も他社の3列シート車よりもゆったりとしており、同じ3列シート車でも快適性が非常に高く感じられたものです。
2019年には車体デザインを一新した新車が登場し、社名ロゴも改められました。
新車では3列シートが採用されたものの、シートピッチ(前後間隔)が110cmという広々としたシートになっており、引き続き他社よりも快適性の高さで勝負してきました。
車内サービスについても他社にはないものが多くありました。
かつては客室乗務員が乗務し、乗車時には飲料水、お菓子、おしぼりを配布、出発後にはホットコーヒーの無料サービスを実施、お休みの乗客には毛布を貸し出すなど、至れり尽くせりのサービスが展開されていました。
後年には客室乗務員の乗務は廃止されましたが、各座席に飲料水、お菓子、おしぼりをセットしてから乗客を迎えるなど、ワンマン化後も付帯サービスの一部は継続して実施されていました。
各座席にはタブレットタイプの個別モニターが設置され、移動中は映画やゲームなどのコンテンツを楽しむことができました。
画面には阿羅哈客運の女性社長も登場し、液晶モニターではイメージソングも聴くことができました。このイメージソングについては阿羅哈客運の登場するミュージックビデオと共にYouTubeでも聴くことができます。
台湾最大の高速バスターミナルである台北轉運站では4階の乗り場を使用し発着を行っていました。台北~高雄間などで高級路線の高速バスを運行する和欣客運と同じ階からの発着であり、ライバルと隣り合う形での運行となっていました。
高雄でも和欣客運とは乗り場が至近距離であり、阿羅哈客運にとっては強敵だったともいえるでしょう。
阿羅哈客運の高速バスはこれまで3回ほど利用した記憶がありますが、初めて台湾のバスに触れた頃から乗車した経験がある事業者ですので、この度の運行停止は非常に残念に思います。
また、長年に渡って台湾の高級路線の高速バスをリードしてきた同社が退くことは、台湾のバス業界にも大きな衝撃を与える出来事になるでしょう。
阿羅哈客運は今後従業員に対し、年休の消化や退職金の支払いに関しての交渉を進めていくとのことで、最終的には廃業することになるものと思われます。
台湾ではこの数年で中南客運、福和客運など、國道客運(高速バス)、公路客運(縣市を跨ぐ一般路線バス)を中心に運行する事業者の運行停止、廃業が相次いでおり、市區公車(市内バス)を運行する事業者への手厚い支援とは裏腹に、國道客運、公路客運を主体とする事業者への支援が行き届いておらず、厳しい経営を強いられています。
政府、公路總局などが主体となり、これらの事業者支援や路線維持に向けての取り組みがしっかりと行われることを強く望みたいところです。
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