チャンフィ☆ファッショニスタ その9  | ゆかりんsoku☆チャン・グンソク

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韓国人俳優チャン・グンソク君のファンのブログ。
現在、記事の更新は不定期です。

久々の『チャンフィ・ファッショニスタ』記事です。

オレこれ何年越しでやってるんだろう…。( ̄∇ ̄;)

今回のお着物は
この連載記事の一番の難関でした。

もうね、すっげぇ長文の記事になってしまったので
お覚悟くださいませ~。 
これだけはあからさまに自分の趣味で書いているんで、すみまへん…。


⑯赤い牡丹の花が刺繍された瑠璃色の表着

『快刀ホン・ギルドン』最終話、
マチョン山に立てこもった活貧党の伝達者として
王軍の陣営を訪れたイノクは、
天幕から見慣れた青い表着をまとった「若君」が
現れたので、しばし呆気にとられる。

  さすがに王様に向かって「あんた何してんの?」とは言えないしな。

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イノクが驚くのも無理はない。

普通なら、王が行幸などで宮廷の外に出る際には
「戎服(ユンボク)」という外衣を着用し、
頭には長い鳥の羽を付けた
「戦笠(チョンニプ)」と呼ばれる被り物をするものだからだ。


だからこれは最終回にあたっての視聴者サービスであり、
時代考証にこだわらないフュージョン時代劇である
『快刀ホン・ギルドン』ならばこその
“若君復活”の図なのだ。

   そしてこれは美白好きの中国産ウナギちゃんの作成図。貼ってみたら意外にデカい画像だったわ。

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だがしかし、そうとは分かっていても、
私はいぶかったものだった。
なぜこの青い表着をチャンフィは選んだのだろうか、と。


なぜなら、この光沢のある瑠璃色の地に
鮮やかな紅い牡丹の花をあしらった表着は、
イノクに自分の気持ちが伝わらずに
苦しい思いをしていた頃のチャンフィが
よく着ていた服だったからだ。


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どうせ若君時代の衣装を着てくるのなら、
イノクに想いを打ち明けることもできず、
あきらめることもできなかった
つらい思い出が染み込んでいる服よりも、


即位直前まで着ていた
黒紅色の地に小花文様を散らした着物の方が
太陽から降りそそぐ光を浴びて
けざやかに映えることだろうに、と
不思議に思ったものだった。

  当のイノクと若君以外、その場にいた全員がどんだけ気まずかったことだろう。

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この牡丹の花が刺繍された瑠璃色の表着は、
下に重ねる内衣の色を替えて
若君の衣装としては最長期間にわたって使われているものだ。
鉢巻は表着と同布で作られている。

まず14話のラストでチャンフィがギルドンに
「父親と渡り合え」と唆すシーンで、
銀の花文様のある菫色の内衣とともに
この瑠璃色の表着が初めて登場する。

この時の手巾と帯は同じ色調の濡羽色。
地味な色目だが、青系色でまとめた衣装にはかえって映える。

とりわけ印象深いのは、15話で
活貧党の根城に合流しようとするイノクの腕を、
チャンフィが一瞬掴んで引きとめようとするシーンだ。

言いよどんだあげく、「元気で」という言葉しか出てこないまま、
イノクをひたと見つめるチャンフィのまなざしがどうにも忘れられない。


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そして、菫色の内衣を着たチャンフィを見るのは、
このヨンムンの館でイノクと別れるシーンが最後である。

イノクと別れたのと同時に、
王座奪回の計画を本格的に始めるため
大商団の若君として世間から隠れ潜むことに
終止符を打ったチャンフィは、
「若君」の内衣としての菫色の衣を着ることはなくなるのだ。

人生で一番輝いていて春に例えられる時期のことを「青春」というが、
これは古代中国の五行思想で
「春」には「青」色が当てられることが元になった言葉だ。

青い内衣をまとった「若君」としての
チャンフィの青春の時代はここで終わりを告げたのである。


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そして次にこの瑠璃色の地に
大輪の牡丹の花を散らした上衣を
チャンフィが身にまとうのは、

第19話でイノクが行方不明だった許婚のリュ・イノクと判明し、
そのうえホ老人がホン判書に殺害されたことにより
イノクがギルドンの元を去ってヨンムンの館に身を寄せた頃だ。

          チャンフィ・グンちゃんにも無愛想な「直立不動」写真があるのだ。普段は愛想良く写ってるのに、よほど寒いんだな。

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つまりチャンフィはイノクが傍近くにいた時だけ、
大柄の花模様の表着を着込んでいたようなふしがある。

もしかしたら、大きい花柄模様の衣服はイノクの好みだったのやもしれぬ。

   貼りカイロで胸元をふくらませちゃってるから、まるで女の子みたいよ、グンちゃん。

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この頃のチャンフィは、
青い上衣の下に濃黄色の内衣、
手巾と帯は黒地に赤い唐草模様、という
強い色を大胆に取り合わせている。

                  夜間撮影ですごい寒さなので、グンちゃん機嫌悪し。

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黄色は高貴な色の中でも最高色であるから、
正統な王位継承者としての主張がこめられているのだろう。

                  寒さで腰まで曲がりかけてきたグンちゃんの姿に思わず涙が。 ←出ません。   

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また、イノクがギルドンとは違う道を選び、
リュ家の孫娘としての身分を回復するまでの長い逡巡の時期に、
彼女の心を慮ってそっと寄り添っていた頃の
チャンフィの衣装でもあり、

内衣の色合いも、イノクに対する曇りのない愛情と
優しい気くばりを表すかのように温かさを感じさせるものだ。

                    しかしその実態は極寒で機嫌悪度マックス。

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そして、イノクと最後に会ったシーンでは
チャンフィは青い上衣の下に、
王の色である紅赤色の内衣を着込んでいる。

そのときの青い衣はいわば若君を装うための道具に過ぎない。

なぜなら、中身は冷徹な王に一変したチャンフィであるのだから。

王座を守るためにギルドンと戦う意思を剥き出しにしたチャンフィを見て、
彼が若君時代の衣装を着ていても、もはや
かつての「善い人」の若君ではなくなってしまったことを、
イノクはようやく悟る。


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チャンフィの光輝く瑠璃色の衣の下からは、
王の名のもとに多くの血が流されることを暗示するかのような
紅赤色の内衣がのぞく。


それでも、チャンフィの心の中にいる「若君」が
「おまえを殺したくない。おまえを守りたい」と
声を震わせて、イノクを必死に説得しようとする。


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ヨンムンの館で別れたあの日に
とうとう言えなかった言葉を、
身を引きちぎられるような悲しみとともに
今こそあまさず伝えるために、

そして、報われない想いにあがき、絶望した
自分の青春に「けり」をつけるために、

求めても、求めても得られないと知りながら
なお、ずっと想いつづけていたひとに
チャンフィは手を伸ばし続ける。


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あの瑠璃色の表着は
チャンフィのもどかしい初恋の象徴であり、

鈍い悲しみに絶えず襲われながらも
かけがえのない優しい思い出に包まれた服でもあったのだ。


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今、自分の目の前で、
決して泣かせたくなかった愛しいひとが
涙を流しながら無言で去っていく。


彼女はもう自分が「若君」ではないことを知っているから。

もう自分が「若君」でいられないことを知ってしまったから。


「若君!」と、とびきり明るい、屈託のない声で
自分を呼んだひとを、

自分がこの世で最も大切に思っていたそのひとを、

ついに失ってしまったことに、
チャンフィは絶望しきって
とめどなく涙を流す。


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チャンフィの青い表着に施された刺繍の花が、
涙の池に投げられた蓮の花のように
いとおしいひとを想って水底に沈んでいく。

かなわなかった愛が、夢が、理想が、
涙とともに流れていく。


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彼の心の水底には
いつまでもその蓮の花が漂っている。

一人の少女と出会い、愛し、別れたことを忘れないために。

かけがえのない友人を得て、失ったことを忘れないために。

理想の世を作りたいと望んだ自分の前に
立ち塞がった冷酷な現実を忘れないために。

自分がその現実とどう戦い、
どのような代償を払ったかを、
そのために流した血を忘れないために。


≪続く≫

やた!あともう1回でファッショニスタ完結だ!!皆様よろしくおつきあいのほどお願いいたします~。

画像はbaiduなどよりお借りしました。