協議離婚の届け出と同時に、もしくは旧姓(婚姻前の氏)に戻った後、離婚の日から3カ月以内に届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができます。法律関連用語としては、婚氏続称と言われているもので、他方の配偶者の同意などはいりません。

 

それでは、婚氏続称の届け出をした後、やっぱり旧姓(婚姻前の氏)に戻りたいと思った場合はどうなるのでしょうか。

 

このような場合、戸籍法1071項「やむを得ない事由によつて氏を変更しようとするときは、戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。」の規定により、やむを得ない事由が必要とされます。

 

「自分の氏が嫌だから」というような主観的事情があるだけでは認められず、「社会生活において困るから」など、社会秩序的観点からの客観的な合理的必要性がある事情がなければならないとされています。

 

しかし、裁判所は、婚氏続称の届け出後旧姓(婚姻前の氏)に変更したくなった場合については、一般の場合ほど厳格に解する必要はなく、基準を緩和して解釈すべきであるとして、以下の通り判示しました。

 

「婚姻によって氏を変更した者が、離婚によって婚姻前の氏に復することは、離婚が行われたことを社会的にも明確にし、新たな身分関係の形成を公示しようとする制度の目的を支えるものであって、ただ、上記必要性を上回る婚氏続称の要求がある場合には、例外的にこれを認めることにしたものと見るのが相当である」

 

ようするに、民法7671項が「婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する。」と規定していることから、旧姓(婚姻前の氏)に戻ることが原則であり、氏のもつ法的社会的機能から望ましいことを理由に、一般の場合よりも基準を緩和しても良いということになるのだと思われます。

 

「氏をどうするのか?」離婚後すぐに慎重な判断が求められる問題です。