妻の不貞行為が原因で協議離婚した夫は、妻の不貞行為の相手方に対して3000万円という金額を要求した後、不貞行為の相手方の自宅へ行き、長時間怒鳴り続けたり、さらには竹刀で殴るなどの暴行を加えたうえで「お前を殺そうと思って包丁を持ってきた」などと脅迫しました。

 

不貞行為の相手方は、その夫に逆らえないまま、既に夫に支払った60万円を除いた2940万円を3年後までに夫に支払うという内容の公正証書を作成してしまったため、不貞行為の相手方は夫に対して訴えを提起しました。

 

しかし、この事例で1つ疑問に思ったことがあります。それは、公正証書を作成するとき、公証人の先生が当事者に対し必ず意思の確認を行いますので、もし不貞行為の相手方に支払う意思がなければ、その時点で訴えればよかったのではないかということです。

 

判決はそのことに対し、「不貞行為の相手方の意思表示は、夫の強迫によって形成された瑕疵ある意思表示であって、公正証書作成の手続きを経て不貞行為の相手方の意思が公証人によって確認されているものの、これをもって強迫状態から脱したとはいえない」としましたので、強迫の程度がかなり大きいものであったということになるのでしょう。

 

結果的に取り消しが認められ、合意が無効となりましたので良かったのですが、暴行脅迫を受けた時点ですぐに警察に相談していれば、もっと早く解決していたのではないでしょうか。

 

大きな問題、事件となる前に、困った時は、誰かに相談し、助けを求めるようにして下さい。