こんにちは、カピバラ好き行政書士の石井くるみですクマムシくん

 

夏のように暑かったGW直後の本日、東京は雨で肌寒い一日でしたね傘アセアセ

 

寒暖差により風邪を引かないよう、気を付けましょう!

 

さて、今回のブログでは、5/2付の日経新聞朝刊 「経済教室」 に掲載された、松村敏弘・東京大学教授の民泊規制に関する論説を取り上げたいと思います。

 

松村教授は、公共経済学や法の経済学を専門とし、「民泊サービスのあり方に関する検討会」の委員も務められた方です。

 

それでは、論説内容を見ていきましょう下矢印

 

 住宅の空き部屋などを有料で貸し出す民泊が日本でも普及した。しかし、旅館業法に基づく営業許可を得た、あるいは特区制度を活用した合法的な民泊は一部で、大半は違法なヤミ民泊である。宿泊者が夜騒ぐなどの近隣トラブルも顕在化しているだけでなく、行政が実態を把握できない状態で、宿泊者名簿や外国人旅行者の本人確認が適切に行われていないとの懸念もあった。この状態を改善し、民泊を適切に規制して健全な民泊の発展を促すため、「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が6月15日に施行される。

 

適切な許可を受けていない違法民泊は、周囲にばれないように隠れて営まれるため、いつしか「ヤミ民泊」と呼ばれるようになりました。

 

法を無視して営まれるヤミ民泊では、旅館業法が規定する宿泊者名簿の記帳や本人確認は当然に実施されないため、施設が犯罪に利用されやすいこと等が懸念されています。

 

 民泊が注目された背景には、訪日外国人の増加とそれに伴うホテルの需給逼迫があるとしても、ホテル不足対策という限定的な目的で民泊新法が作られたのではない。遊休・低稼働資産を効率的に利用することで生産性を上げ、日本経済に活力を与えるシェアリングエコノミーを発展させるための制度インフラ構築の第一歩ともいえる重要な法律で、近隣トラブルなどの「外部不経済」の発生を抑制しつつ資産の生産性を上げる様々な工夫が盛り込まれた。


 民泊では住宅を貸すホスト、借りるゲストの他に、プラットフォーマー(基盤提供者)が重要な役割を果たす(図参照)。民泊が普及したのは米エアビーアンドビーや百戦錬磨(仙台市)などのプラットフォーマーが両者を効率的に結びつけたからだ。民泊に伴う社会費用には、誠実なゲストやホストが悪質な相手から受ける被害があり得る。これを根絶するのは難しいが、プラットフォーマーがホスト・ゲストの双方向の評価に基づく格付けを適切に行えば、低品質のホスト・ゲストは淘汰されることも期待できる。

 

 しかしこの評価メカニズムでは、取引関係にあるホスト・ゲスト以外の者に与える悪影響(外部不経済)には対応できない。騒音などによってゲストが近隣住民の住環境を著しく悪化させれば、民泊の収入による住宅資産の価値向上効果を超える近隣住宅の資産価値下落を起こしかねず、民泊が資産の生産性を下げる結果となりかねない。さらに民泊が衛生や保安上の深刻な問題を引き起こすなら、より大きな外部不経済を生む。

 

ここでいう「外部不経済」とは、民泊を自由に認めることによって生じる副作用のこと。

 

経済学の世界では、基本的には経済活動の自由を認めると、社会全体の便益が最大となる需給バランスが実現すると考えますが、その経済活動から副作用が生じる場合は話が別。

 

何らかの経済活動から副作用が生じる場合は、それに見合う規制を供給者(事業者)にかけて最適な需要と供給のバランスを図ることが必要となります。

 

【外部不経済のイメージ図】

出所:世界一わかりやすいスティグリッツの経済学 第12回 「経済学における、政府の役割とは?」

 

民泊に当てはめると、民泊サービスから生じる近隣トラブルや犯罪懸念等の副作用を減ずる規制を事業者をかけることで、需給の最適化が図られることになります。

 

 ヤミ民泊では、行政がその存在を把握することすら難しく、適切な監視・規制も難しかった。そこでホストに届け出制を導入し、行政が把握できる道を作り、宿泊名簿の作成・保管や外国人旅行者の本人確認などを義務づけることになった。


 より重要なのは、今まで法規制の枠外にあったプラットフォーマーに登録制を導入した点である。法令に違反した行動を繰り返せば登録取り消しもあり得る制度で、届け出制よりも厳しい規制である。一般にIT(情報技術)業界は、技術革新の妨げになりかねない規制を嫌う傾向がある。しかし業界がこの規制を受け入れたのは、ホストに対して旅館業法での「許可制」のような厳しい規制を導入しなかったからだと考えられる。


 ホストに対するハードルを高くすると、ヤミ民泊が地下に潜る結果になりかねず、その場合プラットフォーマーは合法的な収益機会を失う。ホストには必要最小限の規制のみ課したからこそプラットフォーマーは規制を受け入れたとも考えられる。この民泊新法のスタイルは、今後他のシェアリングエコノミーの規制のひな型ともなり得る。

 

ホスト(事業者)に課す規制が厳しすぎると、社会的に望ましい水準まで民泊が普及しないばかりか、規制逃れをする者が増加し、そもそも規制自体の意味がなくなる懸念があります。

 

また、ホストの数は膨大ですので、規制逃れを発見し、是正する行政コストも重くなるでしょう。

 

このような考え方から、民泊ではホストには「届出制」の最も緩やかな規制をかける代わりに、民泊サービスの需要と供給をマッチングする「市場」の役割を担うプラットフォーマー(民泊仲介サイト)に対する規制により重きを置いた、という流れが見えてきますキョロキョロひらめき電球

 

民泊新法では、届出をしたホスト(住宅宿泊事業者)に対して、宿泊客の募集を他者に委託する場合には、行政の登録を受けたプラットフォーマー(すなわち、旅行業者又は住宅宿泊仲介業者)に仲介を委託することを義務付けることで、これまでは行政法の「属地主義」の考え方から、日本の規制が及ばないとされていた海外の民泊仲介サイトの運営者に対しても登録を受けることを動機付けて、民泊新法の規制に組み入れることが企図されています。

 

ライドシェアや駐車場シェアといった他のシェアリング経済の分野でも、供給者と需要者をマッチングする「プラットフォーマー」を、いかに規制の枠組みに入れるかが重要な課題となるでしょう(一般的に規制が困難とされる海外プラットフォーマーに対しては特に)。

 

 プラットフォーマーがホスト・ゲストを適切に教育・誘導して外部不経済の発生を防ぐことも期待されている。品質の高いプラットフォーマーがホスト・ゲストだけでなく近隣住民やマンション管理組合、行政からの評判を高めれば、例えば管理組合が一定の優良なプラットフォーマーを使う場合のみ民泊を認めるなどの対応が生まれる。優良なプラットフォーマーがより多くのホスト・ゲストを集める好循環が生まれれば、社会から歓迎される優良な民泊が育つことも期待できる。


 民泊には、自らが居住する住宅の一部を貸し出す家主居住型と、空き家となっている住宅をオーナーが民泊に転用する家主不在型がある。家主居住型なら、近隣住民に迷惑をかければ自らの住環境も悪化するので、これに適切に対応することも期待でき、ゲストの本人確認なども適切にできるだろう。しかし家主不在型であれば適切に対応しない懸念がより大きくなる。


 そこで民泊新法では、登録制に基づく管理事業者を設け、本人確認や近隣住民の苦情対応などの責任を負う者を明確にした。管理事業者には不動産、住宅事業者だけでなく、旅館・ホテル業界からの参入も期待できるかもしれない。義務的なサービスだけでなく、管理事業者が競い合って様々な付加サービスを提供・仲介すれば、既存の旅行、コンビニ、警備業界なども巻き込みながら、関連市場を育てる効果も期待できる。

 

民泊新法により、新たに「住宅宿泊管理業」の制度も創設されました。

 

論説における指摘のとおり、旅館業法における玄関帳場の代替措置の導入とあいまって、今後はホテル業界やコンビニ業界が、民泊の新しい担い手となることも期待されますキラキラ

 

参考記事: 新・旅館業法の解説② 民泊管理の主役はコンビニやホテル業界に!?

 

 民泊新法では、営業できる上限の日数が180日とされた。稼働率は上限でも50%を下回り、採算がとれないとの批判もあるが、筋違いだ。そもそも民泊は、主たる目的が住宅である資産の低稼働部分を有効利用することが目的で、最初から宿泊事業が目的なら、旅館業法に基づいた許可を得るべきだ。


 180日規制は土地の用途規制に由来する。旅館の建てられない住居専用地域でも、主として住居として使う建物を副次的に宿泊用に貸すのが民泊で、旅館が主たる用途でないとみなすには、半分超の期間が旅館として使えないことは必要条件とも言える。


 これを超える営業を認めるには、用途規制を原則から変える必要があるが、用途規制には存在理由がある。これを大幅に変えるなら、更に慎重な議論が必要となる。180日規制は必要最小限の規制と考えるべきだ。

 

こちらも指摘のとおり、宿泊業を目的とするなら、旅館業法に基づく許可を取るべきです。

 

実際、民泊新法と同時施行される新・旅館業法では、「旅館・ホテル営業」の導入とともに、許可要件が大幅に緩和され、許可を受けやすくなります。

 

また、以前のブログでも解説したとおり、180日規制は現行の法規制の枠組みの中では、最大限の規制緩和であったと評価すべきでしょう下矢印

 

 

 ただし、これは国が定めた上限で、各自治体が地域の実情に応じて独自にルールを上乗せできる。すでに自治体によっては上乗せ規制の動きもある。例えば民泊を週末に限定する規制は、週末には孫が帰省するので部屋を貸したくないが、平日の空き部屋は有効利用したいといったニーズにこたえられないなど弊害は大きい。


 一方で自治体は平日に民泊を営んでいれば直ちにルール違反と判断できるので、規制の実効性を高める工夫とも考えられる。過去のヤミ民泊の悪いイメージから出発せざるを得ないことを考えると、この程度の規制を一方的に非難することはできない。


 大仰に言えば、民泊新法における自治体の上乗せ規制では、地方分権のあり方が試される。民泊に限らず、従来は多くの点で、地方が決めるべきことに国が干渉しすぎていた。この国と地方の役割分担を改革し、結果として不必要な国の干渉が減少し、地方分権が進むことは望ましい。地域の事情をよく知る自治体が、その地域に合ったルールを定めることは、住民の利益にも、ひいては国全体の効率化にも資するはずである。


 ところが、もし既得権益者の圧力、あるいはトラブルを避けたいという安易な判断の結果、法の趣旨を超えた規制強化が図られるなら、自治体は地方分権を担う能力を疑われ、地方分権の流れにも水を差しかねない。むしろこれをチャンスと捉え、各自治体が安易な上乗せ規制はせず、上乗せ規制をする場合にも、地域事情を考慮しつつも合理的で必要最小限のスマートな規制を作る能力を示すことを期待している。

 

民泊を巡る一連の規制緩和の趣旨を無視し、過度な条例・規則を設けることは、民泊の適法化を妨げ、むしろヤミ民泊を増加させる結果につながりかねません。

 

6/15の民泊新法と新・旅館業法の施行に向け、各自治体においては、法の趣旨に則った適切な条例・規則が制定されることが期待されます!

 

参考記事:新・旅館業法の解説④ 客室数、玄関帳場、従業者常駐…条例による制限は可能か!?(前編)

      :新・旅館業法の解説⑤ 客室数、玄関帳場、従業者常駐…条例による制限は可能か!?(後編)

 

以上、とても勉強になる論説だったのでご紹介しました。

民泊新法により、健全な民泊が普及してほしいと思いますおねがい!!

 

*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆

当事務所代表行政書士・石井くるみの著書、セミナーのお知らせ

 

日本橋くるみ行政書士事務所 石井くるみ著 『民泊のすべて』 Newアップ

…旅館業法の基礎から地方創生まで、民泊の全てを解説!

 

新旅館業法完全対応「新・旅館業法のすべて」  ゲスト講師に、星野リゾート出身のホテル・旅館コンサルタントが登壇!

2018年5月19日(土)13:30-17:00@NATULUCK日本橋(東京メトロ三越駅前徒歩5分) New!!

 

DVD・インターネット版「民泊と旅館業の合法化実務」 

旅館・ホテル営業の最新ノウハウを網羅した、民泊合法化の解説セミナー。石井くるみ著『民泊のすべて』をプレゼントビックリマーク

 

DVD・インターネット版「民泊管理業参入セミナー」 

住宅宿泊管理業参入のノウハウが凝縮されたセミナーが、インターネットで受講できます!!

 

当事務所の紹介は『日本橋くるみ行政書士事務所HP』

民泊管理業への参入サポートは『民泊管理業サポートセンター』 をご覧ください。


*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:..。o○☆゚・:,。*:..。o