【IT契約】「免責規定」があれば安心か?(2) ~ 重過失とは | 高木行政書士事務所

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こんにちは 行政書士の高木です

 

台風が接近しているということですが、風がほとんどない事務所所在地です。

雨は降っているのですが...

これから夜にかけてが‘本番’ですかね? 🌀

皆さんもくれぐれもお気を付けください。

 

さて、先週の記事で、

保守・運用の契約において、「故意又は重過失がある場合を除き責任を負わない」という免責規定を設けることがある、と書きました。

 

「故意」は「わざと」といった意味でした。

 

では、「重過失(重大な過失)」とはどのような意味でしょうか?

 

判例によると、重過失とは「通常人に要求される程度の相当の注意をしないでもわずかの注意さえすれば違法有害な結果を予見することができた場合であるのに漫然これを見過ごしたような

ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態

とされています。

 

「わずかな注意」をしていれば、「違法有害な結果の発生を予見することができた」のに、「著しく注意を欠如した」結果、これを見過ごしたということであれば、

重過失があったとされることになります。

 

この、重過失を「ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態」であるということを前提にした別の裁判において、

「著しい注意義務違反(重過失)というためには、

結果の予見が可能であり、かつ、容易であること、

結果の回避が可能であり、かつ、容易であること

が要件となる」

としました。

 

これらから考えると、結果の予見可能性・結果の回避可能性が容易であるにもかかわらず、

著しい注意欠如により違法有害な結果が生じると、重過失があったということになるでしょう。

 

予見可能性については、以前にも書きましたが(その記事では「予測」可能性と書いています。)、

現在の技術水準で予測できたか否か

 

とされています。

 

現在の技術水準に照らし合わせて、著しい注意欠如があれば重過失があったとされるものと思われます。

 

ところで、別な点で重要なこととしては、「個別の事情」ではないかと思われます。

 

つまり、あるシステムについてこういうことが起こり得る、ということが、ユーザー側にとっては業務上知り得たことであるのに、その情報がベンダー側に提供されず、ベンダー側としてはそれを回避する検査等を怠った、というような場合です。

 

単純に考えれば、ベンダー側としては知り得ないことを前提に検査等はできませんから、責任はないようにも思われます。

 

とはいえ、あらゆる可能性を検討すべく、起こり得ることをできるだけ聞き出していくのもベンダーの役割とも言えます。

 

この辺りは(保守・運用における)プロジェクトマネジメント義務とも関連するところですので注意してほしいところです。

 

 

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