第17回世界バレエフェスティバル Bプログラムその② | Gwenhwyval(グウェンフウィファル)の舞台日記

Gwenhwyval(グウェンフウィファル)の舞台日記

鑑賞は生中心主義。自分の眼でライブで見たことを中心に、語ろうと思います。


(承前)2024年8月8日18時公演

🌟ソナチネ🌟
オニール八菜&ジェルマン・ルーヴェ
ラヴェルにバランシン…とくれば好きなはずだし、見るの初めてではないと思うのだが…うーん、響かず。もちろん、きれいなんですけどね。

🌟ロミオとジュリエット🌟
サラ・ラム&ウィリアム・ブレイスウェル
鉄板演目。私はこれに関して感知器壊れてるので、誰が踊っても涙目になってしまう。
サー・マクミランはどうしてこんな振り付けができたのだろうかと、今まで何回考えたことか…。
発表当時はどれだけセンセーショナルだったことでしょう。もはや立派な古典です。このBプロでは白鳥もスリーピングもジゼルもくるみもない。それでもガラコンサートは成立する時代になりました。

🌟マーラー3番🌟
菅井円加&アレクサンドル・トルシュ
ハンブルク・バレエに遠征して10年以上になるので想定内の良さ。トルシュもすっかり大人の風情を身につけた…。
マーラーを聞くといつのまにかノイマイヤー先生の振りが思い浮かぶまでに。
でも、友人とも語ったのですけど、こういうガラにはノイマイヤー作品やや不利(笑)だよねと。マクミランみたいな派手さ、大衆受けがない…予習してないと意味わかんないし。ま、哲学的、なのかな。

🌟マノン(寝室のパ・ド・ドゥ)🌟
ヤスミン・ナグディ&リース・クラーク
これももはや古典。ジュール・マスネの信じがたくも官能が滴る音楽にのせて、恋の絶頂が語られる。いつも「この世になぜこんなに美しいものがあるのだろう」と思い、涙ぐむ。マクミラン天才。

🌟ル・パルク🌟
アレッサンドラ・フェリ&ロベルト・ボッレ
この作品に対する私の不理解は別記事にも綴った通りなのですが…フェリが踊ったせいなのかなあ、少しだけ「あ、いいな」と思えた…かも。なぜだろう。解明したいかも。

🌟うたかたの恋🌟
エリサ・バデネス&フリーデマン・フォーゲル
これはマクミランにしては結構ダークな作品で、得意ではなくビミョーに辛い。まあ、辛い話ですからね。
でもなんだかエリサには合ってたように思いました。美人というよりおきゃんな感じの小娘を、皇太子が道連れにした…。
宝塚ファンにも見てほしい作品ではあります。

🌟欲望🌟
シルヴィア・アッツォーニ&アレクサンドル・リアブコ
タイトルとは少し離れた感じの、美しい小品。スクリャービンのピアノも素敵で、うっとりと時間を過ごす感じ。欲望にもいろいろある。
それにしてもサーシャ(リアブコ)の身体表現の雄弁さときたら、どうだろう。この先どうなっていくのかな。それを見続けたい…その機会に恵まれますように。

🌟オネーギン🌟
ドロテ・ジルベール&ユーゴ・マルシャン
こ、これも今や鉄板。秋には本家(シュツットガルトバレエ)の来日公演がございます。
全幕ものなのに、この最後のシーンだけが切り取られても観客を圧倒する、ジョン・クランコの傑作。
身を切られる想いで初恋の人を拒絶し、あとで身も世もなく号泣するタチアナに、共感しない女はいまい。そうよ、全てオネーギンが悪いんです(笑)
ま、ユーゴくらい美しく生まれてしまったら、そんななっちゃうのもわからないではないが…。

🌟ドン・キホーテ🌟
菅井円加&ダニール・シムキン
…このバレエフェスティバルのトリを、日本人ダンサーが務めることになるとは…これだけでも感慨ひとしおの私。いや、こういう催しを始めることのできた日本(習ってる人でいえばバレエ大国)だから、ダンサーが輩出したのかもしれぬ。
まどかちゃんのことを「世界一タメのきく女」と公言して憚らない私ですけど、本当に素晴らしいバランス。そしてジュテ。
彼女のジュテ(ジャンプ)は、宝塚ファンにはもと宙組の優希しおんくを思い出してもらえればよいと思います。あれのもっと綺麗で丁寧で、高いやつね(笑)
ラテン女たるキトリの外連味、可愛さ、目を引く華を表現して余すところなし。音楽の流れをぶち壊さない範囲で、ビシッと止まる。そして次の動きへと。
こんなメリハリがきいたキトリを踊れるひと、今他にいるだろうか、とすら思う。爽快だったらない。
彼女の身体能力は折紙つきで、コンテもクラシックも完璧に仕上げてくる。でも彼女は身体のきくうちにクラシックを踊りたいんだそうな…。
彼女がやりたいならそれでもよい、ハンブルクバレエから離れるもよし、全ては彼女の幸せなダンサー人生のために、と願う。

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シムキンもすっかり大人になり、やんちゃ盛りの超絶技巧見せは影を潜めたものの、基礎磐石なダンサーならではの踊りを見せてくれました。この二人、よきバランスです。

なんだか円加ちゃんへの言及が多くなってしまいましたが、お許しのほどを。

8月12日にあるガラ・コンサートは買えなかったので、私の世界バレエフェスティバルはこれにて終了です。暑くも楽しい日々でした。
次は2027年なのかな。私たちの地球が平穏であり、人や芸術の移動が自由な世界でありますように。心から祈ります。