エイフマン・バレエ「ロダン」のアート感が凄い | Gwenhwyval(グウェンフウィファル)の舞台日記

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鑑賞は生中心主義。自分の眼でライブで見たことを中心に、語ろうと思います。




2019年7月19日19時公演

ロダンといえば「考える人」ですけど、私にはそれと同じくらいの強さで甦る記憶があります。
それはイザベル・アジャーニ主演の映画「カミーユ・クローデル」。
彼女が恋人を呼ぶ声「ロダーン‼️」が耳に残って、ロダンと聞くと条件反射的に思い出す。恋しさと憎さと愛惜が混じったあの、ど迫力の声。

ロシア初のモダンバレエカンパニーとして名高いエイフマン・バレエ。国立なのに振付家の名前が冠されてるって特別な感じですよね。
その21年ぶりの日本公演「ロダン」を見にいってきました。

なんつーか、アイディアというか着想がすごい。そしてそれだけではなくダンサーも物凄いので、ロシアバレエの幅広さと奥深さ、つまり「体積」に圧倒されました。

彫刻の過程と仕上がりをダンサーの体で表現するのですが、その彼らの体が彫刻的なだけでなくて身体能力すごいので、自由自在に曲がり、そこで静止する。考え抜かれたであろう照明に照らされて、彫刻にしか見えません。
ダンサーの体をこう使う手があったか…と瞠目。今まで見たことのないものを見た。天才。

振付は苦悩や葛藤をなぞり、それでいてクラシカルな基礎が磐石なので、美しい。
なにより、大柄なダンサーが実に的確に踊るので、これ以上の迫力があろうかという…。
男性は182センチ以上、女性は172センチ以上なのが入団条件だとどこかで読みました。やはりロシア(東スラブというべきか)バレエは違います!
私はやはり大柄なダンサーが好きなんだなあ…。

2幕にフレンチカンカンがあるのですが(特にストーリー的に必然性は薄く、群舞を見せる場面)、衣装と動きに目もくらみ。カンカン、見慣れてるはずなのに…(笑)

素晴らしい着想ばかりなのに、冗長にならずにスピーディでわかりやすいのも現代的。
モダンバレエの入門編としてもよいのではないかと感銘しました。

カーテンコールはエイフマンその人が。スタンディングオベーションが続き、ダンサーの誰よりも拍手を浴びていました。ノイマイヤー先生と同じですね(笑)

「アンナ・カレーニナ」も楽しみです!