公正取引委員会は、「クレジットカードの取引に関する実態調査報告書」を公表した。

 

 

上記の報告書において、「非接触型決済手段(タッチ決済)の搭載義務化及び対応端末の導入義務化に伴う費用負担」について、「独占禁止法・競争政策上の考え方」(119頁)として、以下のことが示されている。

 

国際ブランドがクレジットカード会社に対し、自社が提供する非接触型決済手段をクレジットカードに搭載させる行為や、加盟店への対応端末を導入させる行為は、直ちに独占禁止法上問題となるものではない。

 

ただし、取引上の地位が優越している国際ブランドが、当該搭載費用や当該導入費用を利益に見合わないとするクレジットカード会社が少なからず存在する状況において、

 

クレジットカード会社の意見を十分考慮することなく一方的に、当該搭載や当該導入に伴い発生する相当程度の費用の全てをクレジットカード会社に負担させるなどの行為によって、

 

クレジットカード会社に不利益を与える場合には、独占禁止法上問題(優越的地位の濫用)となるおそれあある。

 

まず、上記の国際ブランドとは、国際的に利用されるクレジットカードのブランドルール、決済ネットワークを提供する事業者であって、例えば、マスターカード、ビザ、ユニオンペイ、アメリカンエキスプレス、JCBなどである。

 

一方、クレジットカード会社とは、消費者に対するクレジットカードの発行や販売店に対するクレジットカード決済の利用環境の提供を行う事業者(決済代行業者を除く)である。

 

このように、国際ブランドがタッチ決済の導入にあたり、一方的にその費用全額をクレジットカード会社に負担させることは、独占禁止法違反(優越的地位の濫用)になる。

 

さらに、「望ましい対応」(119頁)として以下のことが明記されている。

 

国際ブランドは、独占禁止法違反行為を未然に防止する観点から、クレジットカードへの非接触型決済手段の搭載や、加盟店への対応端末の導入の必要性について、十分な説明を行うことが望ましい。

 

また、クレジットカード会社からの義務付けを免除するよう要望が寄せられた場合、当該クレジットカード会社に義務付けに応じることが困難な事情が存在するときは、当該クレジットカード会社への義務付けを免除することが望ましい。

 

何より、新型コロナウイルスの影響により、タッチ決済といったキャッシュレス決済のニーズが拡大しているので…

 

当ブログは「にほんブログ村」に参加しております。
よかったらこちらをクリック願います。
にほんブログ村 法務・知財