一般社団法人の理事が自身の経営する会社に商標権を無断で譲渡することが違法な利益相反取引にあたり無効であるとして、商標権移転登録の抹消を求めた訴訟の判決が東京地方裁判所であった。(東京地裁令和元年11.26)

 

判決は、商標権の譲渡を無効として移転登録の抹消を命じた。

この判決で注目すべきことは、本件商標権の譲渡が利益相反取引にあたるかである。

 

まず、一般社団法人法は、理事が自己または第三者のために一般社団法人と取引しようとするときは、理事会において、当該取引について重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない旨を定める(同法84条1項2号、92条)。

 

「本件譲渡は、原告の理事であった被告が、原告から、原告の財産である本件商標権を無償で譲り受けたものであり、理事が自己のために一般社団法人と取引した場合に当たるから、一般社団法人法84条1項2号所定の利益相反取引に該当する。」とした。

 

以上によれば、「本件譲渡は、仮にこれが成立していたとしても、一般社団法人84条1項2号所定の利益相反取引に該当し、これについて理事会の承認を受けてないから、無効というべきである。」としている。

 

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