コンタクトレンズを販売するお店(コンタクトレンズ販売店)に勤務する従業員を引き抜きすることなどが不法行為(民法709条)にあたるか争われた訴訟の控訴審判決が大阪高等裁判所であった。(大阪高裁令和元年7.25)

判決は、一審判決と同様、引き抜きなどの違法性を否定した。
この判決で注目すべきことは、フランチャイズ契約(FC契約)により提携していたことから、信義則上の競業避止義務を負うかである。

まず、競業者同士が提携関係にある状況においては、提携によって利益を得つつ、一方で他方を出し抜いて自己の営業上の利益のみを追求する行動に出ることは、信義則に反すると評価される場合があり得ると考えられる。

このような場合、信義則上相互に競業避止義務を負うと説明することもできるであろう。

しかし、「提携関係が解消された後においては、両者とも営業の自由を有するものであるから、競業避止義務について特に合意をしたものでない限り、自由競争の範囲内において自己の営業上の利益を追求して競業することが妨げられることはないのであって、一方が他方に対し信義則上競業避止義務を負うということはできない。」とした。

そのうえで、控訴人と被控訴人は、平成28年6月までには提携関係を解消しており、その間に競業避止義務についての合意があったとは認められないことから、競業避止義務違反を否定した。

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