登録商標「南京町」と類似する標章を使用して食料品「南京町冷麺」を製造し販売することが商標権侵害にあたるとして、商店街振興組合が食品メーカーに損害賠償を求めた訴訟の判決が大阪地方裁判所であった。(大阪地裁平成26.3.6)
 
判決は、商標権侵害侵害を否定した。
この判決で注目すべきことは、標準文字で表現される町名「南京町」にも商標権の効力が及ぶかである。
 
まず、原告商標のロゴデザイン(字体)を捨象して、標準文字「南京町」としてみた場合には、単に神戸市中央区の元町通と栄町通の区域(いわゆる中華街)を指称するものとして、組合設立以前から長年にわたって使用されてきた一般的な名称であるといわざるを得ず、自他識別標識として機能することはできない(商標法3条1項3号、4号に該当し、登録要件を欠くことに帰する。)から、
 
「原告商標『南京町』は、特徴的な字体を含む外観を一体としてみた場合にのみ出所識別標識として機能するものであり、その範囲でのみ商標権としての効力を有するというべきである。」とした。
 
そのうえで、被告標章「南京町冷麺」と対比すると、「南京町という一部共通する部分がある称呼、観念を合わせて考えても、同部分は被告標章の要部とはいえない上、いずれも標準的な字体で構成され、原告商標の出所識別機能を果たす特徴的な字体(ロゴ)を想起、感得させるようなデザインがされていない以上、需要者である一般消費者において誤認混同するおそれはないといわざるを得ず、結局、いずれも類似しないというべきである。」と、商標権侵害を否定した。
 
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