「受話器の象徴」と題する図柄(デザイン)の著作権登録(著作権の移転登録)をしたにも関わらず、後に著作権侵害を理由に提訴した裁判でデザインの著作物性が否定されたことにつき、国(文化庁長官)に損害賠償を求めた訴訟(国家賠償訴訟)の控訴審判決が知的財産高等裁判所であった。(知財高裁平成25.6.20)
 
判決は、一審判決と同様、国家賠償責任を否定したが、この判決で注目すべきことは、「著作権の移転登録」の意義である。
 
まず、著作権の移転登録は、「当事者の意思によって生じた著作権の権利変動を公示し、第三者に対する対抗要件となるものである」が、
 
移転登録の対象とされた著作権が発生していることや、その著作権の客体が法2条1項1号の「著作物」に該当することを公示すらするものではないことは、著作権の移転登録の制度上明らかである。
 
そのうえで、「文化庁長官は、著作権の移転登録申請があった際に、申請者に対し、申請に係る登録がされたからといって著作権が発生するものではないことや、著作権の権利者という地位が保証されるものではないなどの説明を担当職員にさせるべき職務上の法的義務を負うものではない」し、
 
また、「文化庁長官がかかる法的義務を負うものとする法令の定めや根拠はない」から、国家賠償責任を否定した。
 
何より、著作権の移転登録は、著作権が二重譲渡されるような事態を防ぎ、取引の安全を確保するために行われるものである。
その活用事例などについては、以前書いたこちらのブログ記事が参考になります。
 
 
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