和菓子などに用いられる桜葉塩漬けの原材料である桜葉の原産地が「中国」であるにも関わらず、包装袋に「国産」ないし「伊豆産」と表示することが原産地誤認表示で不正競争防止法違反(2条1項13号)にあたるか争われた訴訟の判決が東京地方裁判所であった。(東京地裁平成24.10.25)
 
判決は、不正競争防止法違反を否定した。
この判決で注目すべきことは、鑑定「安定同位体比分析」による原産地判別についてである。
 
まず、安定同位体比分析による桜葉塩漬けの桜葉の産地を判別するにあたって、産地別の安定同位体比データベースを基に算出された判別式によって行われているので、判別結果の有効性ないし信頼性は、産地別の安定同位体比データベースが信頼できるものか、そのデータベースから算出された判別式が合理性のあるものかどうかに依存しているといえるもので、これらを検討する必要があり、
 
具体的には、「産地別の安定同位体比データベースの基礎データとされる検体を採取した具体的な地域、採取した検体の数、採取した検体の安定同位体比の分布状況等を確認し、これらを基に行われた産地別のグループ分けが適切なものであるか、安定同位体比の地理的な分布に明確な勾配があるかどうかを確認し、さらにはグループ分けの基準とされた判別式が合理的なものかどうかを確認する必要がある」とした。
 
そのうえで、本件分析試験報告書の分析結果は、その判別得点の導出過程について客観的なデータの裏付けがなく、その判別に合理性があるものと認められないから、桜葉の原産地が「中国」であると認定できず不正競争防止法違反を否定した。
 
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