売買契約を巡るトラブルが原因で、カーワックス(商品)の容器などに付した商品表示「GOLD Glitter」が類似すること、及び、商品に品質を偽る表示をしたことが不正競争防止法違反にあたるか争われた訴訟の判決が大阪地裁であった。(大阪地裁平成23.12.15)
 
判決内容は以下のとおりである。
この判決で注目すべきことは、カー用品専門誌の受賞対象ではない商品に受賞対象である旨の嘘の表示をすることが品質誤認表示(2条1項13号)にあたるかである。
 
まず、カーワックスの表示が他人の周知な商品表示にあたるかについて、とりわけ平成13年6月以降の売上本数や商品の広告宣伝状況(カー用品専門誌の受賞暦を含む。)等に照らせば、「遅くとも平成16年4月以降にはカーワックスを取り扱う需要者(小売業者や一般業者)の間において周知商品表示になっていた」として、周知な商品表示にあたるとした。
 
ところが、販売代理店契約が締結され、商品が一本化した製造販売ルートにより市場で販売されており、製造販売に関与する原告、被告、代理店と三者の出所表示として周知されたものでるから、「その出所識別機能は、この3者について生じており、『他人の』周知商品表示であるとは認められない」として、不正競争防止法違反(2条1項1号)を否定した。
 
一方、カーワックスに専門誌のカーケア商品の部門に選ばれた旨を表示することは、これに接した需要者は、商品の性質上、その選定理由が商品が高品質なもので考えられるからと理解されることからすると、商品の品質についての表示であるとしたうえで、
 
「受賞対象でない商品に受賞を受けた商品と同じ品質である旨の表示をしたことは品質誤認表示である」として、不正競争防止法違反(2条1項13号)を認めた。
 
しかし、損害賠償については、まず品質誤認表示を付した商品の販売行為等が不正競争と定められている所以は、品質を誤認させるような表示によって競業行為がされた場合、潜在的顧客に誤認が惹起されて不当な誘引がされることになり、その結果、公正な競争秩序が害され、ひいては競業者の利害が害されるからである。
 
本件に即していえば、「受賞の対象でない商品に表示が付されたことによって需要者が受賞を受けた品質を有する商品と認識し、その結果、商品選択が歪められ競業者に損害が生じることを問題視すべきである」とした。
 
そのうえで、確かに品質に関する表示であるが、商品選択が歪められることを問題とすべき商品には、いずれも同一ないし類似の商品出所表示が付され、しかもそれが周知商品表示であるから、
 
「商品に接した需要者に商品の品質が異なるとの認識を生ぜしめられ、それが具体的な損害となって現れるとは考え難い」として、損害賠償請求権を否定した。
 
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