包装デザインとネーミングが類似する漬物「東京べったら漬け」を製造し販売すること、及び、原材料の産地、製造加工地が東京ではないのに「東京べったら」などを表示することが不正競争防止法違反にあたるか争われた訴訟の判決が東京地裁であった。(東京地裁平成23.10.13)
 
判決内容は以下のとおりである。
 
まず、「東京べったら」などの表示が原産地等誤認表示(2条1項13号)にあたるかにつき、べったら漬けは江戸日本橋の恵比寿神社の祭礼で売られていたことに始まる東京発祥の名産品であり、現在でも東京(江戸)やべったら市との関係が深い商品であり、
 
「東京べったら漬け」、「東京べったら」などの表示を付されたべったら漬けは、少なくとも20年以上前から複数の会社によって製造、販売されているものの、その大半は、原材料は東京産ではなく、東京都内の工場で製造されたものでもないことが認められることから、
 
「東京べったら漬け」の表示は長年にわたり原材料の生産地や商品の製造、加工地とはほとんど関連付けられることなく使用されていたものであって、
 
「需要者においては、東京産の原材料を使用しているとか、あるいは、東京都内で製造、加工されたものであると認識して購入することは認め難い」として、原産地等を誤認させる表示にあたらず不正競争防止法違反(2条1項13号)を否定した。
 
また、「東京べったら漬け」が不競法2条1項1号の商品等表示にあたるかにつき、「東京べったら漬け」という表示は普通名称化しており、基本的には自他商品識別機能を有しておらず、本来的に特定人の独占になじまないものであって、
 
「特定人がそれを長年にわたり使用し続けることにより、需要者において当該特定人の商品を表示するものとして広く認識されるに至っている」など特段の事情がない限り、商品等表示にあたらないとしたうえで、
 
必ずしも長年にわたって独占的に使用されてきたものでもなく、複数の会社からべった漬けが販売されていたことから、やはり普通名称であり商品等表示にあたらないとした。
 
その一方で、漬物(商品)の包装デザインについては、デザインに独自性があり、全国各地のスパーに販売されており、新聞広告やスーパーのちらし等にも多数回掲載されていたことが認められることから、
 
「需要者(全国の卸売業者、小売業者、一般消費者)の間に広く認識されていたといえ、その状態は現時点においても継続しているものである」と、周知性を認めたうえで、
 
両者は、包装全体の構図や色彩の構成に共通点が多く、包装の大きさもほぼ同一であることに加え、全体的、離隔的に対比して観察した場合に、共通点から生じる印象の強さが相違点から生じる印象の強さを上回り、「需要者または取引者において、両表示が類似するものと受け取られるおそれがある」として、類似性を認め、
 
いずれもスーパーを始めとする小売店などに販売されるものであることなどから、「需要者または取引者が、それぞれ同一のものであること、または、出所を同じくする関連商品であると誤認し得るものと認められる」とし、混同を生じされるものとこちらは不正競争防止法違反(2条1項1号)を認めた。
 
後の控訴審判決についてはこちら
 
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