自ら創作したロゴやキャラクターなどの著作物が他人に無断で商標登録されてしまうことがあるかと思う。
そこで、著作権侵害のある登録商標の効力はどうなるのか。

商標法29条は、「商標登録出願の日前に生じた他人の著作権と抵触する商標が登録された場合には、登録商標は、指定商品または指定役務のうち抵触する部分についてその態様により使用することはできない。」と定めている。

これは、「商標権が商標登録出願前に成立した著作権と抵触する場合、商標権者はその限りで商標としての使用ができないのみならず、当該著作物の複製物を商標に使用する行為が自己の商標権に抵触しても差止等を求めることができない旨を規定したもの」である。(最高裁平成2.7.20)

そのうえで、漫画の著作権者の承諾なしに商標権を得た者が、漫画の著作権者の許諾を得て標章を付した商品を販売している者に対し商標権を主張するのは、客観的に公正な競業秩序を乱すものとして「権利の濫用」であるとした。

他人の著作権を侵害する商標が「公の秩序または善良の風俗を害するおそれのある商標」(商標法4条1項7号)にあたるかに関し、

「特許庁の審査官が、出願された商標が他人の著作権と抵触するかどうかについて必要な調査及び認定判断を遂げたうえで当該商標の登録査定及び拒絶査定を行うことには、相当な困難が伴うものであって、審査官にこのような調査をさせることには事務処理上著しい妨げとなることは明らかであるから、商標法4条1項7号が審査官にこのような調査等の義務を課したものではないこと」などから、

他人の著作権を侵害する商標であっても、商標法4条1項7号に規定する商標にあたらないとしている。(東京高裁平成13.5.30)

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