一昨日、音楽プロデューサーの小室哲哉氏が音楽著作権の譲渡を巡る詐欺容疑で逮捕された事件の記事を書いた。

記事はこちら
URL:http://blogs.yahoo.co.jp/gut_expert/55670127.html

その一方で、音楽出版社に譲渡された著作権を、さらに自身が役員を務める音楽関連会社などに著作権の二重譲渡を行っていたのである。

音楽関連会社との著作権譲渡においては、文化庁に対し著作権登録(著作権の移転登録)を行っていた。
著作権の二重譲渡がなされた場合、先に著作権登録を済ませた者が権利者となる。

音楽出版社との間では著作権登録をしていなかったため、契約は先であっても音楽出版社は権利者を主張できなくなる。
ただし、著作権を譲渡された者が「背信的悪意者」であれば別であるが・・・

それから、JASRAC(日本音楽著作権協会)は二重譲渡された楽曲の一部につき、著作権使用料の分配を停止する措置をとったが、もし著作権登録を受けた譲受人から著作権使用料の支払いを求める裁判を起されたら、やはり、背信的悪意者でない限り支払わざるを得なくなるであろう。

著作権の二重譲渡についてはこちらを参照
URL:http://blogs.yahoo.co.jp/gut_expert/54962505.html

著作権の移転登録は、不動産登記と同様、第三者に権利者であることを公示するためになされるものである。
著作権の移転登録は、譲渡人と譲受人が共同で文化庁に申請するのが原則であるが、行政書士が譲渡人と譲受人の双方を代理(双方代理)して申請することもできるのである。

行政書士などの代理人が申請する場合、代理人の署名と職印を使用して申請するため、当事者本人は手間を省けるのである。

文化庁への著作権登録制度はあまり知られていないこともあるが、著作権譲渡などの取引は、不動産取引と比較して金額も大きくないことから、さぼど利用されていないとも考えられる。

音楽出版社が著作権登録するケースは希であるようだが、ビジネスとして行っている以上、これは如何なものかと思う。

なお、1件につき著作権登録にかかる費用は、不動産登記と比べれば安いものである。
この事件を教訓に、ぜひ著作権登録制度の周知徹底や制度の改善を図ってもらいたい。

また、JASRAC(日本音楽著作権協会)などの著作権管理事業者に管理委託する際の条件として、音楽出版社に対し著作権登録を求める(一律に義務化するのは厳しいかもしれないからせめて努力義務とする)のも良いかと思う。

そうすれば、著作権登録制度を周知させることもできるであろう。

後に書いた関連記事はこちら
URL:http://blogs.yahoo.co.jp/gut_expert/61812069.html