実質的に競争のない世界は劣化を免れないが、さて現在の日本の政治はどうか | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

これは、と思うような記事がスマートニュースで配信されてきたので皆さんにご紹介しておく。

産経ニュースの記事のようであるが、河野洋平元衆議院議長が社民党の元党首で元衆議院議長の土井たか子氏のお別れの会で、「大きな間違いを私は犯しました。今日の日本の政治は劣化が指摘され、信用ができるかできないか、という議論まである。そうした一つの原因が小選挙区制にあるのかもしれない」と述べたそうだ。

私自身は小選挙区制選挙が実施されたからこそ衆議院選挙に自民党から公認候補として立候補出来た一人だから小選挙区制を批判できるような立場にはないとは思うが、しかし小選挙区制の実施で日本の保守政治家の質が劣化したのではないか、と思う節もある。

中選挙区制選挙の時は自民党の中で激しいバトルがあり、それなりに切磋琢磨が行われていたが、小選挙区制になってからは自民党の公認を得られるまでにはそれ相応の競争があるが、自民党の公認候補となり当選してしまえば、実質的にはそこで自民党の中での競争がなくなり、自民党が圧倒的に強い選挙区では事実上そこが現職議員の指定席になってしまう。

切磋琢磨する機会を失った国会議員はあまり勉強しない。
観念論、理想論だけ述べて実際の政治を動かす力を持っていない、いわばへなちょこの野党の国会議員は殆ど競争相手にもならないから、実に楽な選挙、楽な政治活動をすることになる。

中選挙区選挙時代の選挙を知っている人からすると実に弱々しい人たちが国政の場に登場しているように映るだろう。

小選挙区制に変わったことによって政権交代の可能性は一段と高くなったが、それに伴って政治家としては些か経験不足、力不足の〇〇チルドレンと言われるような国会議員が増えることになった。

派閥政治の弊害をなくすためには有効だったが、しかし同時に保守政治家の質は劣化したかも知れない。

もう一度中選挙区制に戻したらどうだろうか、と私も考えているが、多分小選挙区制選挙で当選した国会議員の皆さんは最後は反対するだろう。
それにしても、河野洋平元衆議院議長までが小選挙区制導入は間違いだったのではないか、と後悔し始めているのだから、いずれは小選挙区選挙制度の改革が重要な論点として登場するはずだ。