「これほど素晴らしいじゃんがらを観たことがない。」
いわき市の地元の方が思わず声を上げた。
じゃんがらを見慣れたはずの地元の福島民報の方も身を乗り出しておられた。
普通は15人程度で演奏、演舞をするようだが、24人の部員のうちどうしても参加できなかった1名の部員を除いた23人が一斉に踊る。
はじめは時々手を合わせ、拝むようにして踊る。
次第次第に激しく、様々な所作を交えて踊る。
太鼓や鉦の音がまさに雷鳴のように轟き渡る。
一糸の乱れもない。
踊った生徒たちも、最高の演奏であり演舞だったと、互いに褒め合っていた。
じゃんがらの初めに大きな横断幕が広げられた。
赤い大きな文字で、「感謝」と書いてある。
「ご支援、ありがとうございます。」と書いてある。
図書の贈呈式を開催していただいた福島県立いわき海星高等学校のじゃんがら部の皆さんが私たちにお礼の意味で披露してくれたやんがらである。
この夏には全国各地で50回もじゃんがらの演奏、演舞してきたということだ。
2年8ヶ月前の東日本大震災の大津波で、2名の部員を失ったそうだ。
海岸沿いに立っている校舎は津波の一撃で1階部分があっという間に壊れ、1階天井部分まで海水が押し寄せてきたという。
やんがらは、いわきの風物を代表する念仏躍りである。
鎮魂の祈りを捧げるために、いわき海星高校の生徒たちは懸命に踊る。
再生・復興の願いを籠めて、いわき海星高校の生徒たちは無心に踊る。
実に素晴らしい演舞であった。
実に素晴らしい演奏であった。
じゃんがらで、私たちの東日本大震災の被災校への贈本プロジェクトは終わった。
大槌の虎舞に始まって、いわきのじゃんがらで終わる。
虎舞もじゃんがらも、被災地の方々の私たちに対する最高のもてなしであった。
生徒の皆さん、ありがとう。
あなたがたは、最高である。
鴇田くに奨学基金ビヨンドXプロジェクトの贈本プロジェクトの締め括りにいわき海星高等学校を選んでくれたのは、いわきユネスコ協会の松本会長はじめユネスコ協会の皆さんである。
この場を借りて心から御礼を申し上げたい。
そして、最後に、贈呈式の開催に協力していただいた澤尻校長先生はじめ教職員の皆さんに御礼を申し上げます。
ありがとうございました。
私たちは、いわきを忘れません。
福島を忘れません。
東北を忘れません。
東日本大震災を忘れません。
註:じゃんがらとは・・・
「じゃんがら念仏踊り」のはじまりについては諸説があるようですが、今から300年から400年くらい前の江戸時代に、現在のいわき市四倉町出身の「祐天上人」という方がはじめられたという説もあります。