不公正の疑いが濃厚な行政処分を是正する方法 | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

行政不服審査法の大改訂がまもなく実現しようとしている時に、こういう問題を考えるための絶好の材料が提起された。

私にとっては全日空も日本航空も同程度の存在価値を持っている航空会社で、そのいずれがなくなっても困る存在だ。
出来ればこの2社がますます競い合って、私たちにより一層廉価で良質のサービスを提供してもらいたいと願っている。

国土交通行政においても然りだろうと思う。
全日空と日本航空のいずれかを優先するということになると、優先するだけの合理的理由がなければならない。

その合理的理由の中にかつて国から支援を受けたことがあるかどうか、という要素を考慮すべきかどうか、という問題がある。
国の支援措置にはそれだけの理由・根拠があったわけで、その当時はそのことを理由に航空会社間での取り扱いを区別する正当な理由があっただろうが、しかし、いつまでもこのことを理由に差別的取り扱いを継続するようなことはどうしてもおかしい。

羽田国際線の発着枠を全日空11便、日本航空5便とする方針が昨日、国土交通省から発表されたが、この区別の仕方は明らかにバランスを欠いているように見える。

日本航空は国土交通省の決定に猛反発しているということだが、もしそうならどんどん行政不服審査制度なり行政訴訟制度を活用することだ。
行政には政治家の圧力を撥ね返すだけの力がないことは明らかだから、政治がそうしろと言えばそうせざるを得なくなる。

行政処分の公正さの維持は言うは易く、結構行うは難し、というところがある。
政治についてはまさに数と力で決まるようなところがあり、政治の世界の中で公正さを担保することはそもそも難しい。

こういう難しい案件については、結局は司法が出張るのがいいだろう。
日本航空は、誰に遠慮したり気兼ねすることなく、どんどん行政不服申立てなり行政訴訟を起こすことだ。
行政の公正な取扱いを求める権利はすべての国民、すべての企業、すべての団体にある。

それは、余りにも理不尽な・・・。

その一言で足りる。
行政処分の公正性を立証する責任は行政庁側にある。

日本航空の法務担当者の蹶起を促しておきたい。

参考:全日空に優先配分=日航は猛反発―羽田国際線発着枠
時事通信 10月2日(水)16時6分配信記事

「国土交通省は2日、2014年3月から増える羽田空港の国際線発着枠について全日本空輸に11便、日本航空に5便を配分すると発表した。全日空への優先配分について同省は両社間の格差是正を理由に挙げ、「(現状では)公的支援を受けて再生した日航との体力差が生じ、競争環境がゆがめられる恐れがあるため」と説明した。日航は「到底承服できない」と強く反発し、見直しを求める構えだ。
 国交省は今年3月に羽田の国内線発着枠を拡充した際も、日航が公的支援を受けたことを理由に、全日空に8便、日航に3便を割り当てる傾斜配分を行っていた。
 今回配分を決めたのは、午前6時~午後11時の「昼間時間帯」の発着枠。1便当たり年100億円程度の収入が見込める「ドル箱」とされ、全日空が日航との格差是正に向けた優先配分を訴える一方、日航は均等配分を求めていた。国交省の担当者は配分結果について「一定の競争環境の是正効果がある」との見方を示した。」